私は私と世界をまわる
鈴乃
私と「私」
第1話 プロローグ
いつだっだだろうか、私がそれを認識したのは。わりと自我が芽生えてすぐだった気がするがその姿ははっきりとは見えていなかった。しっかりと姿形が認識できるようになったのは、私が死んで神域と呼ばれているところだった
それは、人の形をとっている。髪の色は太陽に晒されれば神々しく、月の光に当たればその光をすべて反射してしまうかのような綺麗な銀色の髪。背丈は170と少し大きく、気品に満ち溢れている。
それが町中を歩けば誰もが振り返ってそいつのことを見てしまうだろう。しかし、そうはならない。なぜなら、それは私にしか見えないからだ。
だが、私が歩くと皆が私を見るだろう。そう、私とそいつは瓜二つ、いや同じ容姿をしているからだ。簡単に言えば二重人格なのだろうか。しかし二重ではないため私はそれを亡霊と呼んでいる。そう私の亡霊。
幽霊のように出てきては消えて、少し話すことがあれば喧嘩もして、面倒事があれば協力して、一緒に悠々自適に暮らしている。しかしそいつがいきなり言い出した。
「なぁ、旅にでないか?」
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