アオノオトメ

@Nari0705

恋って気持ち悪りぃ

高校2年の頃好きな子がいた。一年生の頃同じクラスになり出会い、どこかいつも弱々しくおとなしい女子だった。


よくおとなしい人たちで構成されている7、8人グループにいて、仲が良い人だと気を抜いて話せるようなタイプだったと思う。


特別に仲がいい人ではない人との会話は話せてはいるが、どこか緊張しているように見え、よそよそしくて目を合わせられていなかった。


整えられた前髪とセットで二重でくりっとした目をしていたが、明らかに美人というわけではなく、友達にある日「可愛くない?」と言われそこから可愛いと気づくことが出来た。そんな地味で可愛いより美人が合う和風美人だった。


そんな彼女はオタクだった。筆箱はイケボ系イケメンが描かれているものを使っており、印象が薄い彼女に神様は魅力を出したかったのだろうか。なんてナンセンスな神だのだろうか。


また彼女は繊細な人だった。授業中、小さなことで過剰に驚いたり教科書を何度も落としたり恥ずかしいことがあると赤面するような子だった。


そんな子に僕は恋をしたわけだが、この頃は全く恋なんてしていなかった。彼女とはたまに話したり、連絡のやり取りをしていたがそれ以上進展はしなかった。そしてそのまま二年生になった。


僕は二年生になり、前から思っていた恋人がほしいという気持ちが強くなった。彼女に恋心はなかったが彼女が僕を好きでいてくれるのなら、ほんとに恋人にしてもいいと思っていた。そのくらいは好きだった。


今まで女子からアプローチを受けることはあったが自分からは無かった。だからそんな受動的な恋愛から変わり僕は彼女を遊びに誘った。


地元で花火が予定されており、そこで勇気をだしLINEで彼女を誘った。彼女からの連絡を待っているときは中間テスト後に友人と遊んでいたが初めて自分からアプローチする興奮や断られるのではないかという不安で心の中が満たされていた。


頭の回転がアドレナリンで早くなり定期テスト週間なため睡眠不足で調子が悪かった体に元気を与えた。落ち着かず、友達の話を聞きながらも内容はすり抜け、連絡が来ているかどうか逐一携帯を確認した。


来ていないと安心しつつ早くきてくれと早まる気持ちが、より脳の回転が早くした気がした。連絡が来たときはYesかNoか審判をくだされてしまったことに恐怖と期待の重みがぐっと心にのしかかった。


彼女はLINEでのメッセージから迷いを感じさせていたが、了承してくれて一緒に見に行くことになった。だが雨で中止になった。代わりに映画に行く事になったが空は彼女に空気を読んだのだろうか。その日も雨だった。そして2回目の遊びにLINEで誘ったが「ごめん。私用で無理かな」と断られた。


彼女はシャイな人だが誤魔化さず言うときははっきり言う人だと思っていた。だからほんとに無理なら「ごめん。私情で無理かな」だと思っていた。


だから「私用」、何か用があって無理なのだとおもった。「私情」、気持ち的に無理とくるのが本当に無理なときだとおもっていた。


だから気づいていなかった。勘違いしていた。用は終わることはなかった。どれだけ大事な用なんだ。だが少しではあるが疑う考えもあった。


「私情で無理」と言うと僕を傷つけるのではないかと思った彼女が傷つけないように言おうとして「私用」があるといったのではないかと。


だがいや、彼女は言う時は言うんだと思っていた。いや自分でそう思おうとしていた。


言ってくれよ。鈍感なんだよ。


そんか彼女とは2回目が断られても彼女は「私用」がほんとにあるんだ。僕を拒否したんじゃない。そう思いたかった。だからそう思える根拠を得られるように期間をしばらく開けつつ誘い続けた。


はっきり言ってくれよ。はやく諦めさせてくれよ


何回誘って断られたのだろか。4、5回くらいか。彼女は繊細な女の子だ。だから僕の誘いを断る申し訳無さで自分も傷ついていたと思う。それをわかっていても誘っていた。


僕は断れるにつれて彼女を好きになった。彼女を誘うにつれて、僕は彼女を好きだと思うように脳が思わせたのか。なにか自然的でなく人工的に好きになった。簡単には手に入らない彼女をだんだん好きになった。


そして、その後諦めた。やっと気づけた。彼女は「私用」なんてなかった。そして彼女を誘うのを辞め、しばらく彼女とは接していなかった。そして三年生に上がるタイミングで僕は彼女と一生会えなくなった。


死んだわけじゃない。僕は学校を楽しむことができず、3年生に上がるタイミングで転校した。学校では会えなくなったし、クソみたいな連絡ばかりしてたから、もうこれ以上連絡はできない。


転校してしばらく経つのにもう会えない人に僕はまだ未練がある。未練がましいったら仕方ない。


僕は彼女が好きな人ができたのだろうか、彼氏ができたのだろうかとか、考えては彼女に抱いていた不純な恋心が再び燃えるような気がした。


結婚した夫婦が不倫すると男女で怒り方が違うらしい。「男は精神的な浮気より肉体的な浮気に対して強い嫉妬を感じ、女性の多くはその逆であることが明らかになっている」というのを見たことがある。


男としての肉体に対して欲望を持つという本能からきているのだろうか。彼女がいつか彼氏ができて性行為をするかと思うと嫉妬を覚える。彼女が誰かを好きになるより、誰かと体を重ねるほうが憎い。


そんな僕はやはりキモイ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アオノオトメ @Nari0705

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画