第33話 ガンマはめちゃくちゃ有能なのだ配信
「----という訳で、泡立て器納入先紹介配信は以上となりますのだ! 気になる皆様は、是非ともお店に行ってくださいなのだ!」
ススリアの配下たるゴーレムの1体、ガンマは終了の挨拶をすると、配信を切る。
これで泡立て器を納入する予定のお店との義理は果たしたので、問題はないだろう。
「まっ、今後は巨匠に泡立て器開発の依頼が来るだろうし、忙しくなりそうなのだ。……っと、その前に、お菓子のレシピも調べないといけないのだ」
ガンマはそう言うと、ガシッと胸に手を添える。
----カパッ!
100cmを越える大きなおっぱいが、ガンマの身体から離れる。
120cmしかない彼女には不釣り合いの、100cmを越える大きな胸は単なる見せかけなんかではなく、映像編集担当である彼女専用の
身体から離れたガンマのおっぱいの裏側には、様々な種類のボタンが付けられており、慣れた様子にてガンマはそのボタンを押していく。
第3の瞳から文字映像が投影され、
ガンマがいまやっているのは、配信技術の大元、
厳重に管理されている配信装置だが、ガンマから言わせれば数千年以上に渡って
検索するのは魔王ユギーの封印と共に消滅したといわれる、かつてのお菓子に関するレシピ動画の配信である。
「おぉっ、やっぱりいっぱいあるみたいなのだ。娯楽が滅びようと、人間はそうは変わらんと思っていたけど、やはりそうなのだ。
----ガンマ達の調理配信が流行った以上、同じように配信していたと思っていたのだが、予想通りなのだ」
こうして、ガンマはお菓子に関する配信動画を見て、レシピを記録していく。
パンケーキは確かに甘く、食感も独特で、今後のお菓子ブームのきっかけになる事は間違いない。
しかしパンケーキ単体では流石に飽きられてしまうのは目に見えているし、今後、クリームを載せたりなどのパンケーキの派生形が出る事は目に見えている。
そんな中で、お菓子レシピ公表の第一人者ならぬ、第一配信者としては、多くのレシピを今後公開して、皆の注目を集め続けなければならない。
そのために、ガンマは過去の配信を
「----さぁ! 我が巨匠、ススリア様の命により、視聴者をガッポガッポと増やしまくり、お菓子界の第一たる配信者の地位を確立してこちらでもガッポガッポ……!!
ぐへへ……私だけ、このガンマが一番役立つことを証明してやるのだ!」
物凄い勢いで、ガンマは
----プリン。
----大福。
----アイスクリーム。
----クッキー。
----ゼリー。
いくつものお菓子のレシピを、ガンマの脳内にて記録していく。
「ぐへへ……お菓子で、この世界を席巻してやるのだ~! 家事しか出来ないベータや、脳筋デルタなんかよりも、このガンマが一番役立つことを証明してやるのだ!」
「えいっ、えいっ、おーっ!」と、ガンマはどんどんレシピ情報を記録していく。
レシピ情報を記録していく作業をしていく途中、ガンマは脳内にアラームが鳴り響く。
「……ん? 地域内に侵入者?」
それは、この家の敷地内に、敵意を持った者が侵入したという合図であった。
以前の錬金エルフのタラタちゃんや、姫騎士フランシアさんなどとは違い、明確な敵対意思を持ってこちらに侵入している気配を感知したのである。
普段なら放置しても良いかと考えるガンマであったが、その侵入者にある特徴を感知した。
「----? これはもしや、神聖術?」
ガンマが感じ取ったのは、濃い神聖術の気配。
その特徴から、侵入者が教会関係者であると判断したガンマ。
「教会関係者かぁ……巨匠はあまり好きではないから、排除しに向かうとするのだ」
ガンマはそう判断し、デルタに連絡を送る。
デルタとは通信技術が繋がっているため、すぐさま連絡がついた。
「デルタ! お仕事の時間なのだ! ----南南東に、神聖術を使う敵対者の存在を感知したのだ!」
『……敵対者ですね。殺しても構いませんか?』
「教会関係者は巨匠が嫌ってるのだ。あと、殺すとさらに厄介なのが来るため、出来れば殺さず、頼むのだ」
『了解しました。早速、作業に移ります』
デルタからの了承の連絡を受け、ガンマは安堵する。
これですぐさまデルタが、その侵入者を排除しに向かう事だろう。
エルフは良い、他国の王女様も良い。
だがしかし、教会関係者だけは、ススリアに近付けるべき存在ではないのだから。
「……一応は巨匠にも連絡しておくのだ。もしかすると、私が知らないだけでお客様の可能性もありますからなぁ」
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