第25話児童文学「豆腐小僧の初恋」

 ◇登場人物紹介

 豆腐小僧とうふこぞう


 豆腐小僧AIイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093083845401762


 愛奈あいな


 愛奈の父


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 おらは、豆腐小僧。豆腐を運ぶだけの気の良い妖怪だよ。

 おらは、平和な日々が大好きさ。

 でも、この前、小学低学年位の女の子が家の物置に閉じ込められてたんだ。



 なんでも、父ちゃんに閉じ込められたらしい。

 おいらが助けたら、女の子は、泣きそうな顔をして

「なんてことするの!」って、怒って来たんだ。



 おらはイラっとしたけれど……

 家から、その子の父ちゃんが出て来て女の子の頭をいきなり、ポカリと叩いた。

 


 おらはビックリして「なにするんだ!」って、女の子を庇ったんだ。

 女の子は父ちゃんに「ごめんなさい」と謝りだしたから、「謝ることない、何で謝ってるの?」と聴いた。



 女の子の父ちゃんは、おらに怒って来て、女の子の手を強く掴んで引っ張って家の中に入ろうとした。



 おらは、カッと頭に血が上って、つい……

「おらは妖怪、豆腐小僧様だ!お前みたいな意地悪人間は、おらの豆腐を食らえ!」


 と、女の子の父ちゃんの口に豆腐を一口無理やり、押し込んでやった。

 みるみる、腕にカビが生えて父ちゃんは、怯えて謝って来た。



「ひいっ、体にカビ! どうか、私のカビを取ってください」って。

 ケッ、弱っちぃ奴。弱いモノいじめしか出来ない奴は、おら嫌いだ!


「これから、この子をいじめないなら、許してやる。しかし、今度、いじめたら……分かってるか!」



「ひえ~!もうしませんから、許してください」

 父ちゃんは、反省して謝って来た。

 


 良かった……これで、この子もいじめられることはないな。

 でも、女の子にもおらが妖怪だってこと、バレちゃった……



 おらが泣く泣く何も、言わずに去ろうとすると、女の子がおらに声を掛けて来た。

「ねえ、豆腐小僧ちゃん!あたし愛奈あいなって言うの。あたしのお友達になってよ」

 


 おらの胸は、きゅんとして頬が赤く染まる。

 おらと、愛奈ちゃんは友達になった。

 愛奈ちゃんはおらに「ありがとう」と天使の笑顔を向けてくれた。



 ❖豆腐小僧

 着物を着て大きな笠を被った小僧の妖怪。豆腐を乗せたお盆を手に持っている。

 何もしなければ、無害な妖怪だが。豆腐小僧の豆腐を食べてしまうと、あっという間に体にカビが生えてしまうと言う。



 児童文学「豆腐小僧の初恋」-終わり-


 明日、完結です。

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