第24話児童文学「ぬらりぬらりとぬらりひょん」


 日が傾いた夕暮れ時に、スキンヘッドで頭が大きく着物を着た一人のお爺さんが、閑静かんせいな住宅街を歩いていた。

 しばらく、あちこち、眺めていたが、お爺さんはふと、一軒の家に目をやると



「今日はここにしようかのう」と家の中にするりと消えた。

 何と、お爺さんは、ぬらりひょんと言う妖怪だった。

 この家の母親が家事をしている中、ぬらりひょんは勝手に茶を飲んだり、塩煎餅しおせんべいをつまんだりして、居間でくつろぎ始めました。



「ああ~、茶と煎餅せんべいが美味い」

 ぬらりひょんが、もうそろそろ、帰ろうかと考えていると。

 この家の女の子が、ぬらりひょんをじっと、見つめていました。



「おじいちゃん、だあれ?ママのお友達?」

 彼は、目を丸くして穏やかに言った。

「ありゃ、お嬢ちゃんに気がつかれてしもうた」



 ぬらりひょんは、微笑み人差し指を立てて「ふぉっふぉっ、ふぉ。シィ~、内緒じゃぞ?」と女の子に飴玉を一つくれました。


「おじいちゃん?」

 女の子がもう一度、聴こうとすると、ぬらりひょんは煙になって消えて行きました。



 ❖ぬらりひょん

 頭が大きく、日本妖怪の総大将とも評される。おじいさんの妖怪。

 夕方の忙しい時に家にいつの間にか、勝手に上がりこんで茶を飲んだりして、くつろいでいる。家の人は忙しい為、このことに気がつかない。


 「ぬらりぬらりとぬらりひょん」-終わり-



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る