第14話児童文学「のっぺらぼうのぺらりさんとのんちゃん」

 ❖登場人物紹介❖


 ・ぺらりさん

 のっぺらぼうの少年、お留守番をするのんちゃんの元に訪れる。


 ぺらりさんイメージAIイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093083034560198


 ・佐々木ささきのん太

 元気な四歳の強くて、優しい男の子。

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093083034570791


 のんちゃんイメージAIイラスト


 ・のん太ちゃんのママ

 のんちゃんのママ、ちょっと、のんきな性格。


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 神戸のある市内のマンションに、のん太ちゃんと言う四歳の男の子がいました。

 あだ名は、のんちゃん。ちょっと、いたずらが好きな元気な子。


 のんちゃんは、ある日、ママがお隣さんに用事があるので、ほんの少しの間だけお留守番をすることになりました。



「お留守番は怖くないけど、ちょっと寂しいな」

 のんちゃんは、少し寂しがりましたが。すぐおもちゃのブロックで遊び始めます。

 その時、ピンポーンとインターホンが鳴りました。



 のんちゃんは鍵を開けて、出ようと思いましたが、ママとのお約束で「インターホンが鳴っても、ママが帰って来るまで絶対、開けちゃ駄目よ」と、言われていたので部屋に戻ろうとしました。



 すると、ドアの向こうから「のんちゃ~ん」と声がしたのです。

「は~い!」のんちゃんは思わず、元気な挨拶を返します。

 その時です。「元気な挨拶だねえ。今、そっちに行くよ」

 と声が返って来て……



 にゅ~っと白い柔らかそうな、お餅のような物体がドアを通り抜けて来たのです。

「うっ、うわあ~!」

 のんちゃんは驚いて逃げようとしました。



 白い物体は、玄関で人の姿に変わって行きます。

 詰め襟の学生服を着た中学生位の少年、でもそのお顔には目も鼻も口も何もない、のっぺらぼうだったのです。


「わあ~、オバケッ!」

 のんちゃんは口から、そうもらしましたが、のんちゃんは強い男の子なので、目を輝かせて、わくわくしました。



「あははっ、お兄ちゃん、オバケなの~?面白いねえ」

「ありゃ、怖くないんだね。ちょっと、嬉しいかも。僕は、のっぺらぼうのぺらりだよ。君の名前は?」


「ぼくはのん太、佐々木ささきのん太って言うの!みんなは、のんちゃんって呼んでるよ。ぺらりのお兄ちゃん!」



「ちゃんと、名前言えて偉いね。のんちゃん。今、一人?」

「うん、ママは今、お隣にいるの」

「じゃ、少しだけいようかな?心配だし」

「やったー!ありがと、お兄ちゃん」






 ◇◇






 10分後……


 ぺらりさんは、のんちゃんにクレヨンで、お顔に落書きをされていました。

「のんちゃん、顔に落書きしちゃだめだよ。お母さん、遅いな」

「ふふ、ごめんね。面白くて」

 ぺらりさんは、顔を洗って来て再び、のんちゃんに聞きます。



「いつも、こんなに遅いの?」

「ううん、今日は隣のおばちゃんとお話してるのかな?」

「へえ、ちょっと、僕、見て来るよ」



「お兄ちゃん、お顔」

「大丈夫」

 次の瞬間、ぺらりさんの顔には、目や口があり、ぺらりさんは微笑みます。

 ぺらりさんは、のんちゃんのママを呼びに行きました。


 のんちゃんのママは、やっと気がついてぺらりさんに礼を言って部屋に帰って来ました。


「のんちゃん、ごめんね。遅くなったわね。のんちゃんのお友達が呼びに来てくれて」

「ママ、ぺらりお兄ちゃんは?」


 のんちゃんが聴くと、ママは「ここにいるわよ」と振り返りました。

「あら、帰ってしまったのかしら?でも、優しいお兄ちゃんだったね」

「お兄ちゃん、帰っちゃったんだ」



 のんちゃんは、落ち込んでしゅんとします。

「そのうち、また、会えるわよ。お友達なんでしょ」

「うん……」


 その夜、のん太ちゃんは夢を見ました。

 ぺらりさんが出て来て、のんちゃんの頭を撫でながら言いました、



「のんちゃん、また遊びに行くから待っててな」

 のんちゃんの顔がぱあっと、明るくなります。


「うん、待ってるよ。ぺらりお兄ちゃん!」

「ああ、またな!」



 🔷のっぺらぼう

 目も鼻も口も無いのっぺりとした顔の妖怪。一説には、タヌキやキツネ、ムジナと言う人を化かすと言われる動物が、化けたものだとも伝えられている。



「のっぺらぼうのぺらりさんとのんちゃん」-終わり-



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