革命
渋谷ヨル
物語の始まり
「忘れないで。例えあなたが私を忘れていても、私はあなたをずっと覚えている。だからいつかまた会えたら結婚しましょう。」「また、あの子の夢だ。」最近、よくあの子が夢に出る。里中悠里(さとなかゆうり)は夢の中の女性を思い出した。自分には体験したこともなければ会ったことのない女性だった。しかし、何故だが彼女を思うと胸がシーンとなって寂しくなる。これは誰の記憶なのだろうか。「まぁ考えても仕方ないし、あと残り少ない夏休みを楽しむか!」夏休み終了まであと七日。高二の夏は人生で一回だけなのだから、思い切り楽しまなければ損だ。宿題は夏休み初日に全部終わらせ、夏でしかできないことを全力を楽しもうとした。お祭り、花火大会、旅行、オフ会。どれも楽しかったし、今となってはいい思い出だ。「今日は、智也と一緒に自転車で海までいって、くたくたになるまで泳ぐか。」神空時智也(じんくうじともや)は大事な親友だ。俺の唯一の友人だ。こいつと知り合ったきっかけは智也が傘を駅に忘れて困っていたときに傘を貸した。そこから意気投合し、今ではなんでも話せる親友になった。俺が困っていればすぐに助けてくれるし、智也が困っていれば必ず助ける。そんな関係になっていたのだ。その時、チャイムの音がなった。出てみると、そこには智也が立っていた。「おーい悠里。そろそろ行くぞ。」「ん。ああ、智也か。さて、さっさと支度しないと智也に怒られるな。急いで支度せねば」重いまぶたをこらしていそいそと服を着替え、玄関のドアを開けた。
「お前、遅いぞ。何してたんだ。」家の前では、少し不機嫌な顔をした智也が立っていた。智也は優しく面倒見がいいやつだが、社会のマナーとか社会のルールには厳しい男だ。前にも智也とした約束を忘れた時は本気で落ち込むくらい叱られた。その時はさすがの俺でも社会のマナーは身につけようと思った。「大体、お前はずぼらなんだ。きちんと時間管理とかしてだな。。」「へいへい。お説教は後で聞くから今は、海まで自転車で風でも感じながら走って行こうぜ。」「全く。。そうだな、夏休みも後数日しかないもんな。楽しむか。」「ああ、早速行こうぜ」そういって彼らはヘルメットを被り、自転車に乗って家を後にした。
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