第18話  勇者誕生記念パーティー

 鍛錬、模擬戦が終わってパーティー会場に向かってみんなと一緒に歩いていると、廊下の向こうから、執事服を着た男性がやってきて、

「皆様、国王様から伝言を頼まれてやってきた執事のセバス、と申します。パーティが始まってから入ってきてくれ。とのことです。しばらく別室で待機していただいてもよろしいでしょうか?」

と訊かれたので、

「わかりました。わざわざ伝えに来ていただいてありがとうございます。」

と頭を下げてお辞儀をすると、

「頭をお上げください!!こちらこそ、協力、感謝いたします。こちらへどうぞ。」

と言って、パーティー会場手前の小部屋に通された。そこでしばらく待っていると、先ほどの執事さんが戻ってきて、

「そろそろ来てくれ、とのことです。」

と僕らを呼びに来たので、執事さんに続いていつも国王様とアリスが入るという方の扉から会場に入り、

「ここでお待ちください。」

と言われた舞台袖でしばらく待っていると、舞台上から、国王様が、

「それでは今日の主役の登場です!!お入りください!!」

といったのを聞いて、みんなで目配せしあって、ゆっくりと歩いて舞台上に行った。すると、大歓声と拍手とともに貴族の皆さんが迎えてくれ、国王様が、

「この度、わが娘、アリスと、騎士団長、魔術師団長である双子のフリズルシス辺境伯家の令嬢、アイスネル、アイスメルが勇者様の御一行に同行することになった。それでは勇者殿、一言と乾杯の唱和を頼む。」

と言って、小声で、

「(勇者様たちは何を飲む?)」

と訊かれたので、

「(とりあえず、みんなエールでいいよな?)」

と訊くと、全員うなづいたので、

「(じゃぁ、そういうことで。)」

と伝え、

「では、少しだけ。私は昔からどうやっても魔術が使えなかった。そのせいで、村の同年代から無能と呼ばれていた。その分、剣には力を入れていたため、剣は剣聖の騎士団長よりも上だったみたいだが昔のままだったら魔術も含めた試合では勝ち目がなかった。しかし、そんな私にも転機が訪れた。そう、魔法の覚醒だ。皆さん、希望を捨てないでください。希望は生きる原動力だ。絶望的な状況にあっても、決して希望を捨てないでください。たとえ、死にそうでも生きようとしてください。生きあがいてください。そうすれば僕たちが間に合うかもしれない。奇跡的に助かるかもしれない。以上です。それでは皆さん。私たちの出会いを祝して!!乾杯!!」

「乾杯!!」

あらかじめ国王様から渡されたエールを上に掲げて、と唱和した。そして、エールを飲み、会場に降りて一人一人にあいさつしながら料理を食べていった。夜遅くまで宴会は続き、終わってすぐにディメンションホームに入ってそれぞれ部屋に案内し、自分たちの部屋に入って寝た。

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