第2章 王都ドゥオルビスへ
第12話 出発、そして・・・
魔人を倒した次の日、僕とアイリス、アッシュの3人はここエナス村の馬車乗り場に来ていた。その周りには大勢の人が僕たちを見送りに来ていて、みんな口々に、
「一昨日はありがとな、あの肉、うまかったぜ。」
とか、
「3人とも頑張ってきてね?応援してるわ。」
とか、
「カイル、今まで無能とか言ってごめんな。応援してるぜ。」
とか言って、僕たちを応援してくれていた。そうして、しばらくして、アッシュ、アイリスからもらった懐中時計を見ると、出ようと思っていた時間になったので、
「アイリス、アッシュ、そろそろ行こうか。馬車出すよ。」
あらかじめ準備しておいた馬車をディメンションホームから出すため、ディメンションホームに入って、馬車の御者席に乗って、ディメンションリープで門のところに馬車を出し、みんなの、
「おお~」
という声を聞きながら、
「アイリス、アッシュ、乗って。」
と言って、声をかけ、二人が乗ったのを確認してから、
「それでは、皆さん、行ってきまっす!!」
と言って、みんなの
「「「「「「「「「「いってらっしゃい!!頑張ってね~!!」」」」」」」」」」
という声を聞きながら、馬車を操って出発した。途中で、そうだ!!と思って、グラビティリバースで馬車の車輪と車軸以外の部分を少し上に引っ張るくらいに調節し、揺れをなくした。そして、馬車が軽くなったせいで馬のスピードが出すぎていたので、手綱を引っ張って馬の速度を緩めた。しばらくして、5キメル先の森の中から、ものすごい速度で恐らく上位の魔族が一人で歩いている恐らく女の子と思しき人間に向かって襲い掛かろうとしているのが見えたので、まずい、と思って、
「アイリス、アッシュ、5キメルほど先で女の子が襲われそうになってる。テレポートで馬車降りて。」というと、二人とも即座に降りてくれたので、馬車だけディメンションリープでディメンションホームに送り、すぐにエリアテレポートを発動して一瞬ですでに襲われている女の子のところへ行き、出合頭にディメンションブレードを叩き込んだ。すると、やはり魔王から力を借り受けていたようでテレポートでよけられ、距離を取られたので、転移阻害結界、ディメンションインターセプトエリアを即座に思考加速を使って作って張り、並列思考も使ってヘイスト、メルトスラッシュ、絶対切断、ディメンションブレードを並列起動、一気に近づいて咄嗟に張ったのであろうディメンションウォールごと魔族を消滅させた。そして、魔族に吹き飛ばされて木に頭をぶつけて気絶していた女の子に、アイリスに、
「回復してあげてくれる?」
と頼むと、ニコッと笑って、
「うん。分かった。カイル。」
と言って、ヒールをかけてくれ、しばらくするとその女の子が目を覚まして、
「うっ、うぅん…」
と言いながら顔を上げ、目でとらえていたわけではないが常に展開しているディメンションサーチで見たアッシュが明らかに動揺していて、笑いそうになってしまったが何とか堪えてその女の子に、
「何があったか覚えてる?」
と訊くと、視線をさまよわせて、たまたまだろうけどアッシュと目があい、明らかにドキッとしているのがわかり、あ、これはアッシュの奴、脈ありだな。と思っていると、ハッとしたような仕草をして、
「なんか森の方向からとてつもない速度で何かが飛んできて、ぶつかったと同時に、吹っ飛ばされて木にぶつかって気絶した?のかな。近くに人がいたようには感じなかったけど・・・」
とちゃんと覚えていたので、
「大体あってる。襲われそうになってるのが分かったから急いで魔法使ってここまで来た。」
というと、
「え?魔法?じゃぁ、教会で受けた神託の3人組ってあなたたちのことっ!?」
と言われ、
「え?神託?受けたの?」
と訊くと、
「うん。教会で祈っているときに、『魔法を使う少年と、その仲間二人とともに世界を救いなさい。』って聞こえて、半信半疑で旅に出たんだ。そしたら君たちに出会った、ってわけ。いやぁ、信じてみるもんだね。」
と言ったので、とりあえず、僕はもう一度馬車をディメンションホームから出して、
「じゃっ、とりあえず一緒に行く?アイリス、君も御者席に乗って。」
というと、アイリスはハテナ?と小首をかしげていたが、アッシュと女の子のほうを見るように目配せすると、ああ、という顔をして、
「わかったわ。」
といい、そういえば、と思って女の子に、
「そういえば自己紹介してなかったね。僕はカイル、こっちの金髪の女の子は仲間のアイリス、そこの赤毛がアッシュ。みんな今年成人したから15歳だね。君の名前は?」
とその銀髪の女の子に訊くと、笑顔で、
「私の名前はサラ。都市はあなたたちと同じ15歳よ。よろしく。」
と言ってきたので、ドキッとしているアッシュは無視して、
「よろしく。サラさん。」
というと、
「サラでいいわ。これから仲間になるんだし。」
と言ったので、
「わかった。これからはお互い呼び捨てで行こう。サラ。よろしく。」
と返すと、
「よろしく。カイル、アッシュ、アイリス。」
と言って、僕が差し出した手を握って握手してきたので、とりあえず、
「アイリスと僕は御者席、アッシュとサラは馬車の中に乗って。」
というと、サラが、耳元に近づいて、手を当てて、小声で
「ありがと。カイル。」
と言ったので、口だけで、
「(どういたしまして。二人で楽しんで。それと、あと10キメルほど行ったら中と外交代して。)」
というと、同じく口だけで、
「(わかった)」
と返してきたので、
「(よろしく。)」
と言って、アイリスと一緒に御者席に乗って馬車を発車させた。そして、途中で中と外を交代して、みんなで王都に向かっていったのだった。
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