8/14【水】雨―6日目―
ああ体がだるい……
夏風邪をひいてしまった。
喉が腫れて、咳もゲホゲホ出る。
熱も37度8分あった。
お母さんは昨日クーラーにあたり過ぎたことをチクチク言ってきた。
こんなときぐらい優しくしてもいいじゃん。
体も心も弱って、イライラしてくる。
せっかくの夏休みだってのに。
……そうだ、“お願い”で治そう。
ベッドからヨロヨロと体を起こし、タネを鉢の中の土にズボッと埋める。
ジョウロの水に風邪でかいた汗を入れて、土にまいた。
風邪を治してと口にしながら。
そして鉢を窓の近くの棚に置いて、もぞもぞと布団の中へ戻った。
―――――
―――
―
早くに寝たせいか、夜中の変な時間に起きてしまった。
シパシパした目で、窓のほうを見る。
カーテンの隙間から差し込んだ月の光が鉢を照らす。
そこには見事に咲いた一輪の花が見えた。
その花の色は……灰色だった。
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