第34話 コミュニティに参加しよう
コツコツ進めた結果、レベル30になった。
ピロンッ♬
【コミュニティに参加できるようになりました】
【クエスト:コミュニティでプレイヤーたちと交流しよう】
コミュニティ?
何だろ、とウインドウで確認してみると。
新たに【コミュニティ】の項目が。
プレイヤーと交流なら、市場でやってるけど……コミュニティって?
で、かるーい気持ちで押しちゃって。
だってクエストでもあるしさ。
その結果……。
——パシュン。
「は?」
ドコ、ココ?
さっきまでキッチンで、ピクシーと一緒に、まったりお茶してたはずなんだけど。ガヤガヤと賑やかな場所。屋内だ。天井が高い、吹き抜けのショッピングモールっぽい雰囲気。いろんなお店があって、人もたくさん……人?
「人間もいるけど、獣人っぽい人もいるな」
ぽけー、と突っ立ったままでいたら。
カツカツカツ。ハイヒールの音。邪魔になるかも、と脇に避けて振り返ると。
「!!」
ワニだ。まんまワニ。でも二足歩行している。しかも真っ赤な口紅をしてて、腕に黒色のハンドバッグをかけ、ハイヒール(これも真っ赤)でルンルン通り過ぎていく。すごい。ハイヒールと口紅はするのに、あとは全裸なんだね。全裸というか、まんまワニなんだけど。
……あれってプレイヤー? 好きでアバターをああしてるのかな。
わたしはと言えば、キッチンにいた時のままの格好だから、白Tにゆるっとしたゴムパン。上に水色ギンガムチェックのエプロンしてるけど、お腹あたりが畑仕事で茶色く汚れている。
な、なんかハズイ恰好だな。ちょっとー、瞬間移動するなら前もって教えてくれないと。何の機能かわからずに軽率に押しちゃったじゃん。
でもここってお店がたくさんあるし。洋服屋さんもありそう。購入できるのかな。で、気づいた。うわー、足も靴じゃなくてスリッパじゃあん。もーぅ。
🍃
いったん家に戻ろうとしたんだよ。でもウインドウを見ても、どこ押したら家に帰れるのかわからない。うへー。どうなってんだ。【ホーム】みたいな表示がどこにもないよぅ。なんでだよぅ。
周りにいるのがプレイヤーなのか、ゲームのキャラクターなのか、判別できないんだけど。どちらにせよ、人(人じゃないのもいるけど)に尋ねようと、キョロキョロ。誰に聞こう。親切そうな人……は、うーん。
個性強すぎ。さっき通り過ぎていった人なんて、背中につばさが生えていた。エンジェルなのかな。でも堕天使って雰囲気で黒色の眼帯してたけど。あ、あの人はちょっとやめて。店員さんがいいかな。うん、定員さんにしよう。
すぐ近くの店に入ってみる。雑貨屋さんかな。カラフルな品揃えで、大小いろんなケースに何か入って……絶句。
「いらっしゃいませーぇ」
明るい声の店員さんはハリネズミだった。巨大ハリネズミ。わたしと同じサイズ感。で。このお店はもしや……。
「新鮮な昆虫、各種、取り揃えておりますー」
まさか食べるよう?
「ペットにしても庭に放して捕獲ゲームに利用しても、もちろんお食事にもご利用できますー。どちらの虫がお好みですかあ?」
すみません、間違えました。
愛想笑いを浮かべながら退散する。
あれはアバターだったのか、ゲームキャラだったのか……。わからん。
もっとよく見てからお店に入ろう。
それで売り場を出て、またキョロキョロしていたら。
「あっ」「にゃっ」
わー、ごめんなさい。
よく見てなかったから人と軽くぶつかってしまった。
すみません、ってやって顔をあげてみたら。
「いえいえ、わたしもよそ見してたのでー」
相手はきゅるんとした少し吊目のカワイイ女の人。アバターでいうなら、わたしと同世代くらいに見えるな。
よし、優しそうだし、家への帰り方、この人に質問しちゃえ。
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