第21話 畑で幻獣のタマゴを掘り出しました
ジャガイモをせっせと収穫中だ。
ウインドウで収穫を選択すると、一瞬にして納屋に収納されるんだけど、こうして実際にからだを動かすのも時にはいいよね。
良い汗かいてるなあ。天気も良好。ハリケーンの予報ナシ!
ゴロゴロと大きくて立派なジャガイモたち。何匹かピクシーたちもキッチンから出てきて掘り出すのを手伝ってくれている。
「フライドポテトもいいよねー。スライスしてポテトチップスもいいかあ。ふかしてポテトサラダもいいしー。簡単にじゃがバターにしてもいいよねえ」
大量大量。今日はおジャガパーティーだぜ。
何を作るか考えながら、せっせと腕を動かしていると……おや?
何かとんでもなく大きなイモが植わってる。スコップを使って掘り出そうと奮闘。んんっ、イモにしては大きすぎない? 大きな石かな?? 人の頭くらいあるんだけど……。
傷つけないように丁寧に掘り出してみる。
白地に茶色の縞模様の……タマゴ?
ピロンッ♬
【幻獣のタマゴを見つけました】
幻獣!!
タ、タマゴということは、ふ化させられるのかな。でも土に埋まってたんだけど。また埋め戻す? ウミガメ方式だったら埋め戻したほうが良いよね。でも幻獣だしな。また埋めたところで意味ないかも。それよりタマゴは温めたほうが良いような気も。いや幻獣って何だろ。幻の獣。いやそれはわかってんだけど、タマゴってことは鳥類かな。えーと、どう育てるんだ。
巨大なタマゴを抱えてオロオロしていると、ピクシーたちにも伝わったのか、マネするようにオロオロし始める。中にはジャガイモにつまずき、すってんころりんしている子も。
「えーとえーと、こういう時はとりあえずウインドウで何か変化ないか確認して……んー、これといって増えた項目はないけど……お!」
ショップの項目を見ていたら、
しかもご丁寧に【孵卵器(幻獣用)】と書いてある!!
買おう。3000コイン。ハイッ、お支払いだっ。
🍃
ジャガイモそっちのけ——はウインドウで収穫ボタンを押したら全部納屋に片付けてくれたから一瞬で済ませて。孵卵器にタマゴちゃんをそっと置く。
カプセルみたいな孵卵器は、下はふんわりしたクッションになっていて、手を当てるとじんわりと温い。フタを閉めて待つも、これといって時間表示は出てこない。農作物や増築した時は残り○○分って待機時間が出るんだけど。
「これだけじゃダメなのかな」
タマゴの重さはズシリとしたから、中身はからっぽでしたー、はないと思うんだけど。ヒビが入っているようすもないし。
孵卵器に張り付いてじろじろ観察していたら、ピクシーのぴーがホカホカのフライドポテトを持って来てくれた。お皿山盛りのポテトをひょいとつまむ。
「ぴー。このタマゴ、幻獣のタマゴなんだって。料理しちゃだめだよ。孵化させるつもりなんだ」
「ぴー?」
妖精ピクシーなら、幻獣についても何か知っているのかと思ったけど。ぴーはギョロッとした線のように細くして、不審物を見るようにタマゴを見やる。そして。
「ぴっ」
「あっ、こら!」
孵卵器を蹴飛ばすものだから、しっしっと追い払う。なんだか危険だなー。ログアウトしている間に、ピクシーたちがタマゴに悪さしないといいけど。
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