第8話 緊急クエスト発生!?
アバターもカスタムして気に入った水色ギンガムチェックのエプロン締めて、「フンフンフーン♬」と庭仕事。
といっても、納屋はパンパンだから新しく作物を育てるわけにもいかず、やることといったらチョボチョボ生えてきた雑草を抜くくらいしかやることないんだけどさ。まあのんびりやって——なんて気ままなスローライフを楽しむ余裕を見せようとしたところでドキリと心臓が跳ねる。
ガサガサ……
ガサガサガサ……
なんかおるよ。
わさわさに生えているニンジンの葉っぱが揺れている。
一か所だけじゃない。複数個所で。あっ、サヤエンドウも揺れてる。
緊張しつつ腰を上げた。両手は軍手を装備、右手には草削り。
ガサガサ……
ガサガサガサ…… シーン
動きがいっせいに止まった。何だったんだろ。虫? トンボや蝶は飛んでるけど。バッタが出たのかな。でもそれより動きが大きかったような。ヘビかも。毒蛇じゃなければいいけど。マムシとかだったら嫌だなあ。
ガサッ
あっ、また動いた。わ、わたしのニンジンちゃんが猛烈に揺れてる。
恐る恐る近づく。右手の草削りをいつでも振り下ろせるように構えた。これで倒せるかわかんないけど。そもそも何を倒す気かも知らんけど。
ガサッ……ピュッ!!
「@#%&*!??!!」
びっ、びっくりしたー!! なな、なんななんか、なんか見た!!
出たっ、虫じゃなかった、ちがうの出た!!!
今、レタスのほうへ移動した。
よ、よし。もういっかいちゃんと見よう。
「ガサッ」
びくっ!! いる。ここだ、やっぱレタスのほうにいる。
ゆーくり上から覗いてみようと首を伸ばして……。
ピロンッ♬
【イタズラ妖精ピクシーが出現しました】
なぬっ、妖精とかの類だったか!
でも納得。さっきちらっと見えた時もコビトがいるって思ったから。
このピクシー、赤毛に緑色のとんがり帽子。体長は20センチくらい。
ガサッガサッ!!
わっ、大量に出てきたっ。あっちもこっちもピクシーだらけ。しかもやけに好戦的な態度でわたしを見上げてくる。
な、なんだよ、やるのか、この野郎。こっち見んじゃねえよ。
ギョロギョロした大きな目、ツンと上向いた低いブタ鼻。
目尻まで避けるように広がる口は牙まで生えている。
お世辞にも可愛いとは呼べませんっ。
ピロンッ♬
【緊急クエスト発生:ピクシーを捕まえよう!】
【捕獲しないと野菜畑が荒らされてしまいます。急ぎましょう!!】
急げと言われてもっ。ど、どうしよ。捕獲しろって、どうやって!?
とりあえず手で捕まえようかとがんばってみたけど、「カッ!!」と威嚇されて尻込みする。
軍手の装備だけじゃ無理。噛みそうだ、こいつら。
しかも一匹じゃなくて大量にいるし。いつから潜んでやがったんだよー、誰も招いてませんけどー!
……って、ギャー!!
「キキキキッ」
「キャキャキャキャ」
あ、ああ、アイツらぁぁああ!!
わたしのニンジンちゃんを抜きやがった。えっさほっさと担いで逃げようとしている。
あっ、今度はレタスを玉ごと抱えて。こ、こらっ、ヒナギクを引きちぎるなあああああ!!!
ウエエエエエンッ、どうしたらいいのオオオオオ!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます