風の国と勇者ゼファの冒険
山内 剛
プロローグ 作戦成功
暗雲が山を覆い尽くし、その中から湧き上がるように闇の神の軍勢が山を駆け上ってくる。地面が震え、大地が悲鳴を上げるようなその光景は、まさに終末を思わせるものだった。しかし、山頂に立つ魔法戦士クローヴィス、戦士エリナ、そして魔法使いピッピの三人は、その恐怖に屈することなく、不敵な笑みを浮かべていた。
「ここで俺たちが止めるんだ。どんな犠牲を払ってでもな。」クローヴィスの声が、戦場に響き渡る。彼の目には決意が宿り、その声には揺るぎない覚悟が込められていた。
エリナは冷静に戦場を見渡し、静かに言葉を発した。「クローヴィス、ピッピ、準備はいい?」その言葉には、彼女の経験に裏打ちされた冷徹さと、戦士としての鋭い判断が滲み出ていた。
クローヴィスは既に動いていた。ピッピの探知魔法によって見つけ出されたダムの脆い部分に、彼は事前に楔を打ち込み、今まさにその効果を発揮させようとしていた。すべてはこの瞬間のために計画されていたのだ。
「ここで一気に決めるわ。上流のダムを破壊して、敵を飲み込むのよ。」エリナの声には冷静さがあり、その冷徹な判断は戦局を完全に掌握していた。
「この作戦が成功すれば、我々の勝利は確実ですぞ」ピッピの瞳が光り、魔法の力を込める準備が整った。
そして、ピッピが魔法を発動させた。その瞬間、強大な魔力がダムに衝撃を与え、ダム全体が大きく揺れた。瞬く間に亀裂が走り、ダムはその力に耐え切れず、ついに崩壊した。
「これで終わりだ。全てを押し流してやる。」クローヴィスの声が、轟音にかき消されそうになるが、その力強さは誰の心にも届いた。
激しい水流が溢れ出し、山を下りながら膨大な勢いで闇の神の軍勢を押し流していく。敵は為す術もなく、次々と水に飲み込まれ、そして消え去っていった。
「この一撃で、闇の国は終わりだ!」エリナはその光景を見つめ、成功を確信した。すべてが計画通りに進んでいた。
巨大な水の奔流は、闇の国の住人と軍勢を跡形もなく飲み込み、無情にもすべてを破壊していった。その光景は恐ろしくもあり、同時に壮大な勝利の証であった。
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