バカ部!
桐崎りん
第1話
「森りさです。よろしくお願いします」
森はぺこりとおじぎをして、すぐに席につき、机に顔を伏せた。
まるで、高校なんて興味がないように。
小中学校ともに、勉強をせず遊ぶか寝るか、の2択だった森にとって大学進学などのために勉強する高校という場所はまったく関心が湧かないのだろう。
森と同じクラスの生徒も欠席が目立つ、そう、ここは『高卒』の資格を得るために最低限学校に『通う』ことを目標とした者たちが集まった高校。
偏差値39の公立高校である。
とはいえ、この高校はただ遊んで勉強しなかった者だけでなく、いじめなどの理由により学校に通えず、勉強が追い付いていない生徒も多く通う。
学校がなんならかの理由によりこれまで不登校だった生徒のバックアップを強調していることもあるのだろう、グレて落ちこぼれた生徒より圧倒的に、元不登校の生徒が多いのだ。
入学式翌日の今日。
休み時間になっても、クラスメイト同士で話しているのはごく一部で、ほとんどが読書をしたり、寝ていたり、他人と関わりをもつことが苦手な生徒が目立つ。
無論、この物語の主人公の1人である、森りさも例外ではない。
今も机に突っ伏して寝ている。
どんな高校生活が待っているのだろう、そういったワクワクで胸がいっぱい、といった経験には関心がないようだ。
入学式の日に提出だった事前課題『高校での目標』。
短冊のような長方形のカラー画用紙にそれぞれがそれぞれの思いを書かれたものが教室の後ろの壁に貼られている。
「人との関係は最小限で、なるべく平穏に過ごす。森りさ」
明らかにやる気のない彼女の目標がやけに目立っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます