堕ちた後(本編4話完結)

第1話 冬は突然やってくる:姫路雪の場合

『情報収集メモ』


姫路雪ひめじゆき20歳

大学生2年生 心理学専攻


黒髪ポニテ 童顔二重小顔

AAカップ 145cm 48kg

生真面目、一途、頭脳明晰

スポーツ不得意 引っ込み思案


元々交友は広くなく、勉学を主として過ごしてきた

将来は自身と同じように引っ込み思案な子供の成長を手伝いたいと、児童心理学と発達心理学を学び、児童カウンセラーを目指している


趣味は散歩と風景写真撮影


『※交際関係にある異性を軟禁したい願望有』→ここのメモだけ筆跡が違う


ーーー


安達あだちゆう


男子大学生の俺の名前である。


不思議な本を見つけて、同じ学科の女の子をヤンデレ化させることをしてみた結果を記していく。


とした子たちのレポートだ。

前日談は省略するが、気が向けば追記するかもしれない。


最初は同じ心理学科の女の子を標的にした。


彼女はメモにある通り、優秀かつ交友関係も少ないため、狙いやすかった。


勉強を生業にしてるかというくらい勉強熱心な彼女に合わせて一緒に勉強していくうちに、親密になったというわけだ。


堕とすまでの過程は面白くない記述が続くため、実際に堕としてから初めて彼女の自宅にお邪魔したときのことをピックアップしよう。



「祐さん…逃げないで…だめですよ、ほら」


「いやいやいや!逃げるって!明日講義あるよ!?」


目の前の物静かな小柄な女の子は俺に覆い被さってにこにこと微笑みながら…


押し倒していた。


「え、だって。せっかく二人なんだよ?好きならこうすると思います」


「いやまぁ、それは付き合う二人ならそうかもしれないけど…」


「ふふ…もう付き合ってるも同然だよ。毎日一緒にいて…ね…?」


いやほんと、どうしよう。


俺はふかふかのベッドの上に仰向けで。


その上に女の子が乗ってきて両手首をがっしり手で抑えてくる。


とても目の奥が闇に近い何かに染まってるようで震えすら感じる。


「祐さんが悪いんですよ?私こんなに誰かを想ったことないのに」


「あはは…それは初めての感覚を提供できたようでなにより…」


俺が苦笑いで茶化そうとすると彼女はぐぐっと顔を近づけてくる。


「うん…『はじめて』なの。私、祐さんに心取られちゃった」


「近い近い近い!ねぇ、良い匂いするよ!?近いよ!?」


「え?んふふ…良い匂いなんて…それなら」


彼女はとてもご機嫌に俺の顔の横まで唇を近づけてきて。


「これくらい近いと、どう?」


耳元で可愛らしい静かな囁きが放たれて、片耳から全身に巡る。


正直とてもドキドキしてやばい。


この子の香りが何というか、女の子!って感じで耳からも女の子を感じる。


「ふふっ…祐さんウブだよね…私も経験無いから男性が好きそうなことを調べてやってみてる」


「勉強家なのは相変わらずなんだね…ねぇ、道徳は?道徳も勉強しようよ」


「えー、私馬鹿だから分かんなーい」


彼女はこの会話中もすぐ耳の近くで囁いてるんだよね。


くすぐったいのと心地よさで頭がおかしくなりそう。


「うちの学科で3位まできてるのに何を…」


「学力だけだもん。実技はさ…」


急に言葉を切ると彼女は俺から顔を離して、手首の拘束も解いた。


やっと!やっと離れられる!


俺は歓喜状態でベッドから抜け出すと部屋の出口まで走る。


上は脱がされて防御力0。


下はかろうじて短パンは装備中だが、一点は凄まじい臨戦態勢。


こんなにされて攻撃力上がらないやつは男じゃないだろ。


謎の言い聞かせをしつつ、ドアに手をかけてガチャと開けてみようとすると。


「残念。私、頭良いらしいからさ」


「嘘じゃん…」


ドアは外から鍵がかかってるらしい。


全く開かない。


「いやまて。どうやって中にいるのに外から閉められるんだ」


「どうでしょうね?」


彼女はくすくすと笑いながら自分の胸部を指す。


「ここに答えがあるかも?」


ぶかぶかの胸元ギリギリ見えないラインのTシャツを着てる彼女は、あえて胸元を出してくる。


「ちょっと!それはだめだと思う!」


「なんで?私ほぼ無いんですよ?見ても楽しくないと思いますー」


くっそよろしくない光景だからだめだろ。


Aが二つ並ぶサイズとのことだが、眼前にはチラリと覗く控えめな膨らみが主張していた。


「この中に鍵あるかもしれないですよ?」


「挟めるほどのものをお持ちなら分かるけど」


「ふふふ…」


よし。失礼なことを言うことで機嫌を悪くしよう作戦だ。


「なら…祐さんが育ててよ」


彼女はそう言うなり俺にそそくさと近づいて、手を取りシャツの首元から胸元まで誘導させた。


「ひゃっ!」


「祐さん女の子みたいですね!」


反射的に彼女の胸を触ってしまい、悲鳴をあげる俺とそれを妖艶に微笑む彼女。


逆セクハラでは?


それにシャツの下にある本来の防具がないのはなぜ?


「くすぐったいですよ…ねぇ、祐さん。もっと触って?」


またもや彼女は俺の耳元で囁きながら、もう片方の手をシャツの中の楽園に導こうとする。


「だ、め…だ…それに!鍵ない!」


「あるとは言ってないよ?ほら、触ってよ」


じりじりと俺は壁際まで追いやられて俗に言う壁ドン(片手は彼女のシャツの中)されていた。


「ひぃ…許してくれ…これ以上は我慢できなくなる」


「ん?我慢しなくていいんだよ?私は貴方のものになりたいし。それに貴方を私のものにしたい」


堕ちかけ寸前になる。


こんな一途に想われて、しかもこの積極さ。


誰のものにもなってない全てが初めての子。


俺がこの子の全部になれるのかと思うと心が揺らぐ。


「そっか…俺なんかでいいのか…」


「祐さんがいいんです。私、不安なのでずっと一緒にいるためにこうしちゃいました」


小悪魔的に笑う彼女はとても可愛らしい。


「堕とすのは堕とされる覚悟がある者だけだってことです」


「そうだね…こんなに想ってくれるなら正直何されてもいいかも」


「なら…私が働くので祐さんはお家にいてください。遊んでても在宅ワークしても何でも良いけど『私だけ見ててね』」


「…うん」


同意を得たとした彼女は俺を再度ベッドに誘うとシャツを脱いでありのままの姿になる。


「おいで?」


俺は彼女の香りと声と雰囲気に完全に呑まれて、覆い被さった。


初めと逆のシチュエーションに彼女はしてやったと口角があがってるように見えた。


安達祐、攻略完了。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る