第41話
「大丈夫ですか?」駆け寄ると、また着信音が鳴り出した。
「どうせ姉からだ。俺はお呼びじゃないみたいだから」
彼にスマホをぽんと渡された。その時手が何気に触れて。
ドキリと胸が鳴って。
鼓動が速くなり、ドキドキが全身に広がっていった。
恥かしさのせいか上手く話せないでいると、彼がそっと頭を撫でてくれた。
視線が絡むと、和真さんがふっと微笑んでくれた。
ーーちょっと聞いてる?ーー
「あ、す、すみません」
怪訝そうな結お姉さんの声にはっとして我に返った。
ーーあれ、もしかして四季くん?副島があの手この手を使って間違いなく邪魔してくると思うの。でも、めげちゃダメだよ。絶対にダメだからね。姉として全力で応援してるからね!ーー
底抜けに明るい結お姉さん。
まだ姉じゃないだろうって和真さんが苦笑いを浮かべていた。
ーーどう?うちの和真ーー
(そんな急に聞かれても………)
ーー姉想いのいい子なのよ。夜ご飯準備して待ってるから、もっと話を聞かせてくれる?四季くん、和真にちゃんと連れてきてもらってねーー
それだけ言うと一方的に電話を切ってしまった。
「夜中に姉からメールが来て、寝惚けててうっかり四季が隣で寝ているって返信したんだよ。何を勘違いしたのか、赤飯炊かないとっていきなり言い出して。ごめんな、変な姉で」
「ううん。面倒見のいい、素敵なお姉さんだと思います」
「そうか?」
「はい」
にっこりと笑って返すと、
「四季、どこか行きたいところはある?」
照れているのかな?
目を逸らされてしまった。
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