鑑定……食あたり防止の為。
あー、ビックリした!
でもメニューが開いた。
メニューの字が腰辺りの空間に移って、宙に浮かんでる。ちょっと使いづらいからドラッグとか言って……す、い~。できたあ! そして目の前にドロッープ。PCモニターくらいあるのかな、大きさ。見やすいね。
ステイタス、見ちゃおっかな!
見ちゃおっかな?!
ぽちりとな。
【ステイタス オープン!】
「っひゃ………!! ………………!!!」
声、せ、せーふ。設定ボタン、どこお?! ていうかいちいちビックリマークが付きそうなくらい叫ばないでよ! 音量下げれなかったら私、もうメニュー触らんからね!
……もういいや、メモの続き続き。
” 鑑定スキル……食あたり防止の為付与 ”
……?!!
けっほけほけほ!
けほけほけほっ!
何なの?!
このピンポイントな理由!
お、お水!
むせた!
あああ、水差しがないっ……!
けほけほっ、けほ!
●
あ、お父さん。
明日の仕込みかな。
「ん、どうしたアイラ」
「けっほ! んんっ、ちょっとむせちゃって……あはは」
「そうか。ほら、汲んでやる」
「ありがと、はい! 仕込み?」
「ああ、仕込みながら新メニューを考えてる。頑張って美味いの作るから、感想また聞かせてくれな」
「楽しみ~」
苦笑いをしながら、水差しに水を汲んでいるお父さんの手は、ゴツゴツして傷だらけ。
冒険者をしていた頃のことは知らないけれど……この手で、私たちが、お客さんが笑顔になるようなご飯を一生懸命に作ってきたんだ。お母さんと一緒に、私と『満腹亭』を守ってきたんだ。
「あ、アイラ。咳、苦しいのか? 嫌なことでもあったか?」
「へう。……あ、ちがっ、その」
泣きそうになっちゃった。お父さんがオロオロしながら頭を撫でてくれる。違うよ、そういうトコなんだよ。この心地よさ、この幸せ感。
気合い、入ってきたあ!
私だって。
私だって、絶対に役に立ってやる!
『満腹亭』をまた、この町一番の人気店に!
汚い手ぇには絶対に負けへんで!
「お父さん、私頑張るから! おやすみなさい!」
「おお?! ……おやすみ」
気合い充分、木の階段をずっかずっかと上がっていく。
こうなったら、チートガチャカモン! 『荒鷲亭』とそのオーナーに、
●
そんなことを考えていた時期が、私にもありました。
私が水差しの水を
で。
気合いしょんぼりでもう一度開いたメモには私の残念さがばっちりと
” メニュー……
私、本当に寝こけてた。
テヘペロ♪
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