レンジ君ごめん。こっち電気なかったよ
転生モノ……いやゲームの世界っていう選択肢も出てきたぞ? 寝てたからよくわかんないけども。もしかしたら【メニュー】は寝坊助の私に神様が好意で付けてくれたのかもしれない。そう思っとこ。人生前向き、これ大事。
【メニュー】は後で色々確認してみるとして、ちょっと消えといてもらえませんか? 視界に入って気になるんです。はい、スイッチオフ! 我に従え! お、消えた。いい子いい子。
さて、視界がスッキリしたところでさ……むしろ大問題はこっちの方じゃない? 学習机に乗る私の相棒レンジ君。
お世話になったなあ。大学に入ってひとり暮らしを始めた時に買ってから6~7年かあ。長い付き合いだねえ。
機能はシンプル、職人気質。温めと解凍ができるタイプで丸ツマミを回すと時間表示のところが白く発光して、光が全部消えたら『でっきあっがり♪』ってやつ。
買ってからしばらくは解凍や『もう一品!』くらいでお世話になってたくらいだったけども、就活を始めてからがヤバかった。ひたすら休みの日に作り置きして冷凍して、食べたい時にレンジでチン! 就職してからもその生活は変わらなかったしなあ。
あー……久し振りにカレーが食べたくなってきた。休みの日に目いっぱい作ったカレーを温めてさ、スーパーで買った割引のお惣菜をおかずにして大満足。
ねえねえ、レンジ君もカレー久し振りにあっためてみたいでしょ。とかいってこっちでカレーっぽい料理見たことないんだよね……くう。
……とか懐かしさのあまりに喜んではみたものの……絶対おかしいよ? 何で君がここにいるの?!
ま、まさか私……神様の前で寝ぼけて、いつも通りにぶっ放したんじゃないだろうか。
●
” これ。特典は何が欲しいと聞いておろうに ”
” むにゃむにゃ…… 電子レンジ…… ”
” ふむ? 電子レンジ、なるものでいいのか? ”
” 鉄板です、ぐう…… ”
●
……。
私なら言いかねない。
ごめん、レンジ君。こっち電気なかったよ。私の寝言で異世界に付き合ってもらっちゃったよ(予想)。せめて君を眺めのいいところにおいて、時々私の思い出話に付き合ってくれる感じでいいかいな?
うーん……でも魔石を使って冷やす魔道具もあるんだし、電気と魔法の変換ってできないのかなあ。今度調べてみよっかな……
かた、かたかた。
「……何? え、地震? 火山? 魔物?」
あっちほどじゃないけども、こっちでも地震はある。ただその揺れが地震なのか他の自然現象なのか魔物が暴れたのか、理由はまちまちだけど。こうしてみると異世界怖っ!
バッカン!!!
「きゃああああああああああああ?!」
レンジ君かい!
開いた?!
レンジ君の扉、勝手に開いたぁ?!
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