おとぎ一滴
りお しおり
海にとける
どこまでもどこへでも行ける自由を捨ててまで手に入れた不自由な足は歩くたびに痛くて
波音と歌を奏でた声の代わりに得たはずのものはまがいものでわたしを傷つけた
殺せ殺せ殺せという言葉に従わなかったのは愛じゃないなんて誰にも言わない
まがいものを殺したら本当だったわたしの恋心も偽物になり果てるから
わたしは愛してるを抱えたまま消えていくの
泡になる
あわになる
あわになって消えていく
海にとけて消えていく
何もかも消えていく
想いごと海にとけていく
痛みのない海にたゆたって
はりぼての偽物に本当の想いごと嘘になりかけている子たちを波音に歌声を溶け込ませて呼び続けるよ
痛みのないこの海でずっと
こっちに来るのを待ってるよ
『人魚姫』
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