君の声が透明になった。

海坂依里

(1)

「来年も一緒に、海に行きたいな」


 朝顔が咲く季節に聞いた君の声を、綺麗だと思った。


「来年の約束なんて、早すぎかな……?」


 彼女の声が綺麗なのは、俺が彼女に惚れこんでいるってことにした。


「夏の海なんて、最高の幸福だと思うよ」


 そう素直な気持ちを零したとき、彼女はなんて言葉を返してくれたのか。

 自分の鈍い記憶力では思い出せないのが、今では辛い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る