第99話 佩剣式
新しくうちの騎士となる者は皆、準備して神殿に向った。
そして騎士叙任式の前日の夜から、剣を神殿の祭壇の上に置き、騎士になる若者は沐浴して体を清めて徹夜で祭壇に祈りを捧げつつ起きているらしい。
──そして、よく晴れた美しい朝が来た。
ユージーンは徹夜なんだなぁと、思いつつ、俺と聖女が神殿に到着した後には、昨夜寝る前に魔法の鳥で連絡しておいたニコレット、レベッカ、エマがゲートを使って神殿に到着した。
彼女達も式に列席する。
エマのサファイア鉱山は複数の出資者も現れ、ゲートも使えるようになったと言っていた。
そして式の時間になり、祭壇に向った。
巫女や神官も綺麗に整列してくれてるし、何なら他所の神官まで頭数の助っ人に来てくれてる。
そして今から執式者(主君)つまり俺が祭壇に安置された剣を祝別する流れなので、そのようにする。
このあたりはこの国の本を読んで勉強した。
次に、神官が騎士になる青年に言葉を紡ぐ。
「汝、暴虐に逆らい、真理を守り、祈り働く者、神に奉仕するすべての者の保護者かつ守護者となるように」
神官がそう告げ、祭壇の剣を取り、それを一旦、聖女に預ける。
執式者たる俺は騎士の証の首から下げるプレートに平和の接吻を与えた後、彼の首にそれをかけ、
俺は聖女から剣を渡してもらい、次に彼の肩に剣を軽く触れるくらいに置き、
「ユージーン、そなたをツェーザルロ国と我が領土ソーテーリアの誉れある剣、我が騎士とする」
と、厳かに告げた。すると次に神官が、
「ここに神の御前にて神聖なる契約が刻まれた」
と宣誓。
この時、ステンドグラスから差し込む、色とりどりの光がユージーンの優しい大地色の髪に降り注いでいる。
とても美しい光景だった。
その後、騎士は剣を鞘に収め、三度剣を引き抜いて、また鞘に収める。
シメにニコレットが騎士に真新しい盾を贈る。
その後、列席した未来の夫人達や先輩騎士や巫女や神官たちの拍手が響いた。
今回のこの儀式は聖女も手伝ってくれたので、大変豪華なものとなった。
そしてその工程を新規に騎士となる者の人数分終えたら、佩剣の儀式が終わる訳だが、既に騎士である者がうちの騎士になる場合は、途中が省かれ、肩に剣を置いて俺が我が騎士とするという任命宣言をして終わる。
*
*
*
……終わった。
気がつくと、いつの間にか王弟殿下も来ていて、例の魔道カメラを回していた!
更にニコレットの侍女のマリアンも同じ行動をしていたし、横にはソル卿が立っていた。
仲が良いな、上手くいってるようだ、さすが豪運令嬢。
この後は砦に移動し、軽い宴を開く。
宴多いな!?
パーティー三昧だったらしいマリー・アントワネットを笑えない。
いやでも規模が違うから、予算とかな。
あんな大規模で招待客が多い訳ではないから、民が暴動を起こすレベルではない。
うちの規模ならせいぜい仲間内でやる昇進祝いのパーティーくらいだろうし。
それもピンキリだとは思うけど、無理ない程度だ。
まだ婚約式と結婚式も控えてるからな。
そして宴の時間のパーティールーム。
今夜は未来の妻達とテーブルを同じくしている。
王弟殿下が来られているから、ユージーンは気を使って騎士仲間の席に向った。
宴のメイン料理は、豚の丸焼きの他に家畜として育てられたアヒルなどが出てきた。
今回は時間がなくて料理人に丸投げしてたけど、味付けは醤油と砂糖の甘辛味で美味しい。
同じテーブルにいる飛び入りのスペシャルゲストの感想も聞いておく。
「王弟殿下どうですか? お味は」
「豚の丸焼きなどはうちの城でも出てくるのだが、この甘辛味のアヒルは初めてだが、美味いな」
「料理人がソイソースの使い方を日々研究してくれているようです」
「あの大森林から持ち込んだ調味料か」
「そうです」
「お、お待たせしました」
スペシャルゲストに紹介する聖女がドレスを着て現れた。
急なことだったので、店で買った出来合いのドレスではあったが、爽やかな青いドレスが似合っている。
「お、噂の聖女か、先ほど神殿でも手伝っておったな」
「はい。聖女のリーディアと申します。王弟殿下、この度は貴国に保護と温情をいただき、ありがとう存じます」
「聖女を迎えることができたのはコチラとしても誉れである」
王弟殿下は、おおらかそうな笑みで聖女に対応してくださったので、緊張していた聖女も、だいぶリラックスできてきたようだ。
さすがのイケオジである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます