第85話 告知用に掲示板をと。
独身者用の宿舎の拡張をしてから3日経った。
俺はその夜、ベッドの上で風呂上がりに例の魔道具で掲示板を眺めたりしていた。
次は家庭持ち用のアパートを増やすといいのだけど……。
既に住んでる人達に一旦出て貰う事になるな……。
だが、ミゲールは、どのくらいで回復するかも分からないからな……。
『大丈夫、やれるよー、ほんの少しお外に出て貰えばいいからー』
ふわりと目の前に突如として現れたミゲール。
「おお、そうか、もう大丈夫なのか! でも、無理してないだろうな?」
前世の俺が社畜で過労死した人間なのでちょっと気になる。
『うん、寝たから大丈夫ー』
現在のアパートは2階建てのものだ。
「では1時間ほど外に出るよう指示しておくよ」
『10分くらいで大丈夫だよー』
「そ、そうなのか、そういや前回も早かったな」
『じゃあ準備できたらまた来るね〜〜』
「ありがとう、よろしく」
寝る前に忘れないよう、使用人に伝言を頼むとしよう。
「お呼びですか?」
「ああ、朝になってからでいいから、明日、アパートの者に午後3時頃にしばらく家の外に出ていて欲しいと住人に伝えてくれ、これはアパートを広くするための魔法をかけるためだ、荷物などはそのままでいいらしい」
「かしこまりました」
「そしてこちらはそこまで急ぎではなくてもいいのだが、砦内の共用洗濯場かかまど付近に黒板の掲示板を設置し、食事のおかずの用意に関係するから、あらかじめわかるようにしたい。これはたまにおかずやおやつを配布するからだ。
今まではクチコミと鐘の回数を当てにしてやっていたが、ないよりはある方がいいだろうと」
「はい」
「以上だ」
そして使用人は部屋から出ていった。
翌朝。
爽やかな朝だ、晴れててよかった。
俺はひとまずまだ例の作業の時まで時間があるため、執務室で畑の土壌改良のための指南書を用意することにした。
【土壌改良用メモ。馬糞の場合】
1. 馬糞を集める:馬のいる厩舎などから新鮮な馬糞を集める。
2. 堆肥化:馬糞を広い場所に積み上げ、牛糞などと同様に発酵させる。高さは1メートル程度で、発酵期間は約3〜6ヶ月必要。
3. 混ぜる:発酵中に馬糞を定期的に混ぜる。
「これによって酸素が均一に供給され、分解が促進されるのだが、酸素の概念があるか分からないからここは除去……と」
4. 熟成させる:発酵が完了したら、数週間または数ヶ月間、馬糞の堆肥を熟成させる。これにより、有機物が分解されてより栄養価が高くなる。
【鶏糞肥料の作り方】
1. 鶏糞を集める:新鮮な鶏糞を農場や養鶏場から集める。
2. 乾燥させる:鶏糞を均一に広げて乾燥させます。日当たりの良い場所で行うと効果的。約7日ほどかかる。
3. 堆肥化:乾燥した鶏糞を積み上げ、発酵させます。数ヶ月間発酵させることで、有機物の分解が進み、栄養価が高まります。
4. 熟成させる:発酵が終了したら、鶏糞の堆肥を数週間または数ヶ月間熟成させる。
ただ、鶏糞は使いすぎると土の質がアルカリ性に傾くため、逆に作物が育ちにくくなる。
使いすぎにはくれぐれも注意する。
「いや、まて、アルカリ性とか言っても伝わらなくないか?」
うーん、アルカリ性とかいう記述は避けるか……。
(鶏糞は特に実をつける作物である、ナスやピーマンなどの畑に向いている。
また比較的即効性が高いことが特徴。 そのため、元肥としてだけでなく追肥としての使用も効果的。
しかし臭いが強いところもやや悩ましいところ……。)
──牛糞も……ないことはないが、畑の耕作や荷運びと、労働力として高価なせいか全体的に少ないから、これは省いてもいいかな。
前世だと牛はインドか中国あたりから来たんだったか?
こちらの世界ではごく稀に食えるのはもっぱら水牛のようだが。
とにかく牛は増やしたいが、土地と費用を用意すれば誰かが繁殖、育成を頑張ってもらえるよな?
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