第35話 野外料理とか

 肉の腸詰め入りニラ玉といちごジャムを包んだクレープを完成させ、それらを皆でランチにした。



「疲れていたので甘いの嬉しいです〜」 


 巫女のレリアさんもこれにはにっこり。


「薄い生地でいちごジャムを包んでるんですね!とても美味しいです!」


 魔法使いマーヤさんにも高評価をいただいた。


 皆、美味しそうに食ってくれてるけどクレープは特に女性に受けている。



「ニラと卵のやつも腸詰めも美味しいです」


 この腸詰めは天然羊腸使用でパキっとした食感とジューシーな味わいがいいと思う。


「いい塩梅に塩コショウが効いてて力が湧いてきます」

「スタミナ料理ですからね」



 騎士はやはりこっちのが好きそう。



「どれも美味しいよ」


 とは、ユージーンの言葉だ。

 いつも褒めてくれてサンキューな!  



「ありがとう、ユージーンもニラ玉作ってくれてありがとな」

「せっかく森で手に入れた新鮮な食材だもんね」



 ランチの後には皆でお茶を飲んだ。


 それからまた立ち上がり、深い森の中の獣道や道なき道を先頭のユージーンがナタをふるいつつ歩く。ひたすら歩く。


 日が暮れそうな時間になって、少し開けた場所にてまたも魔法使いのマーヤさんが土魔法で簡易なシェルターを作ってくれた。

 男女別で薄い茶色の2つの四角い建物ができた。

 ここが今日のキャンプ地!



「マーヤさん、素晴らしい! 優秀!」

「すごい! 壁と屋根がある!」


 俺とユージーンが手を叩いて褒め称える。


「これしき当然です」



 ドヤるマーヤさんだが、そのくらいの働きはしてる。

 思わず撮影する俺。

 そして滝の側で拾っておいた石を魔法の収納布から取り出し、簡易カマドを作成した。

 家を作ったばかりだし、今回は魔力を温存して貰うためだ。


 そして夜食は雉っぽい魔物の肉で焼き鳥とパンとチーズにした。

 焼き鳥の味付けは塩と辛味のあるスパイス。


 羽根をむしって捌いた鳥肉を串で刺し、焚き火で炙る。


「森の中での焚き火の野外料理は風情がありますね」


 俺がそう言うと、皆優しいから微笑んで賛同してくれた。

 


「この串焼き、そろそろいいんじゃないかな?」



 ユージーンが焼き鳥の焼き具合を確かめてくれたので、俺はその二本を手に取った。



「ああ、この二本のお肉はいい具合に焼けてます。レディ二人からお先にどうぞ」

「「ありがとうございます」」


「塩味でも十分美味しいですね」

「スパイシーなこちらもいける」

「本当に美味い」



 騎士達も美味そうに食べてくれる。


 パンには串に刺して火で炙り、程よくとろけさせたチーズをのせた。

 


「パンにチーズ乗せるだけで美味くなる法則です」

「まちがいないね」


 この絵面は美味そう過ぎる!

 なので食べる様子も撮影した。



 そういや結局騎士達は撮影に配慮して、家門の紋章付きではない、違う鎧を用意してきてくれた。

 お手数おかけして申し訳ありません。


 ◆◆◆ ◆◆◆


 掲示板にて。


 名無しの貴族〈ただとろけるチーズをのせただけのパンが何故こうも美味そうなんだ!〉


 スレ民達が俺達の飯テロをくらったようだ。


 名無しの令嬢〈夜に見てはいけないものでしたわ〉

 名無しの貴族〈耐えられない、パンとチーズ食う〉

 名無しの貴族〈あの騎士、やはりいい太ももだ〉

 名無しの令嬢〈うちの騎士を変な目で見ないでくださいませ〉


 名無しの貴族〈串焼きもやけに美味しそうだなぁ〉


 名無しの令嬢〈晩餐は終えた後ですのに……ああ、なんという誘惑〉



 ◆ ◆ ◆


 翌日、軽い朝食の後に川沿いを歩きつつ獣人の村を目指して歩いていると、水牛みたいな魔物が一匹突進して襲って来た!


 騎士達が素早く抜剣し、サウロ卿がソニックブレードのような斬撃で魔物の足を攻撃した!


 なにそれすごい! スピードが乗ったまま体勢を崩す魔物の水牛!

 そこに素早く走りこんできたソルさんが剣で首を跳ねた! 見事な連携。

 ちなみにケネス卿はしんがりで背後を警戒中なのでサボってはいない。


 そして血を吹き出して絶命する水牛!



「お、これは牛肉確保ってことでは!?」



 思わず声に出してしまった俺。



「ソル卿、ネオ殿も期待されてるようなので、その牛の魔物、ステーキにでもしましょうか?」


 お!!


「それいいですね! サウロ卿」

「ではその水牛の魔物はあの枝で吊るしましょうか? 捌くのを手伝います」


 ケネス卿がいい枝ぶりの木を指でさした。


「あ、僕も手伝います!」

「ケネス卿とユージーン君もありがとう!」

「今回は私の出番はなかったわ」

「マーヤ殿、魔法はなるべくキャンプまで温存で頼みます、安心して寝れる場所があると助かるので」


「かしこまりました。ところで差し支えなければその魔水牛の角を1本くださいませんか?」

「マーヤ殿。私は構いませんが」

「ソル卿がいいなら私も」

「ソル卿、サウロ卿ありがとうございます!」


 なるほど、魔法の素材か。


「ネオ様、足に回復魔法をかけましょうか?」



 連日森歩きで疲れているから、巫女さんが気を使って声をかけてくれた。


「お気遣いありがとうございます、御自分とマーヤさんにもお願いしますね」

「ええ」



 皆仲良くやってくれてて助かる!




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