第30話 実況スレを立てる俺と令嬢達
「いいことを考えました! 俺、いや私が掲示板で大森林実況スレを立てます!」
「実況スレ? とは?」
ニコレット様達が疑問符をつけたような顔で俺に問う。
「同行してくれる騎士にあまり負担をかけないよう、この魔導具で私自らがなるべくこまめに状況を書き込みするルームを作ると言うことです」
俺はニコレット様から頂いたスマホのような板状の魔導具を見せながら説明した。
「まあ、それなら……まだ我慢できますわ」
「「ですわね……」」
ニコレット様がそう言うので他の令嬢達も了承した。
「こうなるとやはりオークションで絶対にあの魔道具を落とさなければ……」
「ですわ!」
レベッカ嬢とエマ嬢が燃えてる。
それから俺は王弟殿下に大森林へ向かうことやなんかを手紙に書いて、紋章のデザインも預けた。
印章とかシーリングスタンプも作ってくれるらしい。
書類に押す印章とお手紙の封蝋に使うやつの二種類な。
「ネオ様、当家からも一人騎士を派遣します!」
「レベッカ様!? ならばわたくしの家からも!」
「え、そ、そうですか、お二人共、ありがとうございます」
何故かレベッカ様やエマ様の家からも一人ずつ騎士を派遣するらしい。
会食も終わって帰路につく。
ニコレット様達は同行させる騎士を選別したりオークションの事で忙しそうだった。
俺は静かに見守ってくれていたユージーンと帰路につく。
「えらい盛り上がりようだったね、令嬢達」
はっ! そういえば!
ユージーンには別に相談していないような!?
脳が完全に醤油と味噌に支配されていた!
「ユージーン、勝手に大森林行きを決めてすまない」
「美味しいものが待っているんだろ?」
「もちろん!」
「なら、仕方ない。せいぜい僕も美味しい料理のご相伴にあずかるとするよ」
ユージーンは晴れやかに微笑んでくれた。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
〜【ニコレットとレベッカとエマ】〜
「強くて責任感がある真面目な騎士!」
家門の騎士の資料を開いて血眼になるニコレット。
彼女は数人の騎士をリストアップし、護衛しつつ大森林に向かっても良いと承諾してくれる騎士を選ぶことにした。
◆◆◆
一方、仲良くオークションに向かう馬車の中ではレベッカとエマは同様に自家門の騎士の書類を眺め、選別していく。
そしてオークション会場に到着した令嬢達。
熱意を持ってオークションに参加する令嬢二人は根性と気合で魔導サロンの使える魔道具を競り落とした。
「人気があったのをうけて今回は少し多めに出品されていたので助かりましたわね」
レベッカは会場内の椅子の背もたれに身を預けながら白熱したオークションでの熱を冷ますように扇子で自らに風を送った。
頬も赤く上気している。
「レベッカ様、わたくし最悪お父様に誕生日にいただいた鉱山の権利書を売り飛ばしてでも落札する気でおりましたのよ」
「まあ、エマ嬢ったら、鉱山を! ……その手がありましたか」
覚悟が決まりすぎな令嬢二人の元に足音が近づく。
「幸運なるレディの方達、落札おめでとうございます、こちらがお品になります」
タキシードを着た男が落札されたオークションの商品を届けに来た。
「待ってましたわ!」
喜色満面のエマ。
「これです! 早速起動させてみましょう!」
レベッカも逸る気持ちが抑えられない。
二人の令嬢は早速魔力を指先に注いで魔導具を起動させた。
光を放つ板状の魔導具。
「レベッカ様! ちゃんと起動しましわ!」
「ええ! エマ嬢、早く馬車に戻って内容を確認いたしましょう!」
令嬢二人は魔道具を胸に抱え、馬車乗り場に向かって小走りで駆けていく。
そして帰りの馬車の中でついに見つけた。
【俺が調味料を探しに大森林の村に行く実況スレ】
と、題されたルームを。
「ニ、ニコレット様がおっしゃった目印の栞機能とはどれだったかしら!?」
「落ち着いて、エマ嬢、そこの星のマークですわ! そこに軽く指先で触れるのです!」
「ああっ! レベッカ様! 指先が震えます!」
「エマ嬢、落ちついて! ネオ様のルームは逃げませんわ!」
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