第23話 王と弟。そして次の約束。
ネオの元で治療を受け、そしてカレーを食べた後にツェーザルロの王弟、ローラント・ガイスラー・ベレム・オスカー・ヴィヒトリ・ツェーザルロは、オラール侯爵家のニコレットから招待を受けて、その屋敷に向かった。
そして国王ダリルの方は弟ローラントからとある若者を子爵にするという文書を受け取り、その返事として魔法の伝書鳥を弟の元に飛ばした。
どういう者に爵位を与えるのかという王の問いに、弟は命の恩人だと返事をした。
そして自分の他にも三人の貴族令嬢も救われていると。
それなら仕方ないなと、王は納得しつつなんとなく察した。
弟の病のことは周知していたからだ。
これは賊に奇襲をかけられたとか、魔物に襲われた時に助けて貰ったという報告が無かった上、そもそも本人の武力が高いので、ならば病の方であると推測できる。
そして弟が子爵までは爵位を与えられる権限は王自ら許可している。
代わりにヴィヒトリ辺境伯として国防の大事なところを引き受けてもらっているからだ。
無論弟の、ローラントの人格を信頼しているからこそである。
そう、有能な人材をスカウトして国力を上げる許可を出しているが、この権限で弟が実際に爵位を与えたのは今回が初めてであった。
◆ ◆ ◆ ◆◆◆ ◆ ◆ ◆
〜 主人公視点 〜
そしてユージーンに実はジョーではありません発言をした俺は、ようやく肩の荷をおろし、スッキリしてから今夜は魔道具で掲示板で情報検索をした。
「うん? なんと! 竹があるって情報書いてくれてる人がいるぞ!」
「へー、どこ?」
「これは王弟殿下のヴィヒトリ辺境伯領内じゃないか!」
行ける!! そこなら行ける!
「へー奇遇だねぇ」
「運命的だよ! 辺境伯が王家からシーズンになればタケノコが食えるってんで貰ったものを植えたら勝手に増えて竹林ができたらしい」
成長早いし、間引かないと大変なんだよ。
「タケノコ?」
「固くて立派な竹に育つ前の柔らかいやつな、3月初旬から5月中旬にとれたりする」
「へー、春なんだね」
「まあ、ひとまずは明日の海水浴を楽しもう! 短パンでいいよな?」
「うん、全裸よりはいいと思うよ」
プライベートビーチではないから下くらいは履く。
全裸だと股間のあれがプラプラして魚肉ソーセージと間違われて魚に食いつかれると困るし。
ふと、イヤーカフが熱を持った。
ニコレット様が俺に連絡をしてきて、思い出した!
しまった、三年はここに留まるって言ってたのを今思い出した!
どうしよう、月一の治療の為になんとか行き来すれば許してくれるか?
「子爵になられると、レベッカ嬢から伺いました。お祝い申し上げます」
「あ、ありがとうございます!」
やはり情報は行ってる!
「それから迎えの馬車をやりますから三日後に私の家においでください。例のお二人が衣装店の者を呼ぶそうです、例の司祭のような服を作るために」
「ああ、なるほど、ありがとうございます。三日後なら空いていますから伺います」
まだあのお二人はニコレット様のとこにいたんだな。
でも貴族を向かえられるホテルとかがそう多くないなら確かにニコレット様の屋敷がいいか。
「ネオ様は最近、お忙しいのですか?」
「明日は海で遊んだりするくらいですが」
「海で!? どなたと!?」
「普通にユージーンです」
「あ、あの茶髪のお付きの男性ですね」
「そうです、彼、今度は騎士になる為に資格試験を受けてくれるようです」
「まあ、騎士に?」
「はい、子爵になる俺の護衛騎士をやってくれるみたいで」
「まあ! それは素敵ですね! 私からも装備のプレゼントをしましょうか!?」
「装備は主になる俺から贈るものでは?」
「主は剣を渡し、あとはお金を用意するものだと思いますわ。でも盾、マント、ブーツ、衣装も全部となりますとほら、色々出費がかさむのでは?」
ニコレット様は俺のふところ具合を心配してくれてるのか。
そういや王弟殿下は領地くれるってんで、小切手は返したんだよな。
他の騎士や使用人の給金の事を考えるなら、多少援助して貰った方がいいかな。
もしかしたらイケメンのユージーンのことを気に入ってるのかもしれないから、プレゼントしたいのかもしれないし?
「わかりました。では剣とマント以外はお言葉に甘えます」
「ええ! お任せくださいまし!」
剣とマントは主になる俺が選んでやりたい。
今ユージーンが持ってる剣は、父親が騎士見習いの時に使っていたものらしいけど予備として持っていて貰おう、形見なんだろうし。
盾は……マントより高そうだし、お言葉に甘える。
剣と同様命を預けるものだし、ニコレット様なら侯爵家の名誉にかけてきっと良いものを用意してくれるだろう。
「感謝します、ニコレット様」
「あの、その代わりと言ってはなんですが……」
お、そうきたか。
「はい? また魔力吸収の治療をしますか?」
どうせ衣装の時とか、会う予定もあるし、小まめに吸っておくのもいいかも。
「そ、それもいいのですが、明日の海遊びを見に行ってもよろしいですか?」
「え? そんなことでいいのですか? でも俺、いえ、私共は海に入りますよ?」
「私は砂浜か船から眺めますので!」
流石に貴族でもこちらの世界の人達、まだ水着はお持ちでは無いらしい。
「分かりました」
「海辺へは私共は勝手に参りますからネオ様達は先に向かっていてかまいません」
「はい、ではそのように」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます