第14話 晩餐

 さて、晩餐ではあるが、ユージーンは貴族だらけの中で食べるのは緊張するということで辞退した。

 個室に運んで貰って食べるらしい。

 発作を起こして入浴していたエマ嬢は復活して、晩餐には参加している。


 皆、新しいドレスに、わざわざ着替えている!

 俺はまあ、これでいいや。

 一応平民設定だし。


「皆様どうぞ、召し上がって」


 テーブルのメインには豚肉も羊肉も魚もあった。

 どれか一種くらいは好みのあるでしょ? といった感じだ。


 そして料理だ。

 俺は骨付き羊肉のハーブ焼きをチョイスした。

 調味料は塩胡椒と……ハーブ類にクミン、にんにく、イタリアンパセリに似たやつかな?


 食べてみれば羊の脂すげぇって感じ、多分全部羊から出てるやつだよな、コレが多分旨味!



「いかがですか? ネオ様、口に合うものがありますか?」


 サーラさんが、ニコレット様の代わりに問うてきてる気がする。

 俺は日本にいた時あまり食べる機会がなかったラム肉をメインとしていただくことにして食べていた。

 そう、日本にいた時には過去2回くらいしか食ってないのだ。



「旨味たっぷりの脂の乗った羊肉を食べた後にこのヨーグルトサラダでさっぱりさせて、また肉を食べようって配慮されているんですね。肉も新鮮って感じで美味しいです」


 旅先で珍しいものを食べる感覚。


 ちなみにヨーグルトサラダはほとんど見た目がスープだが、美味しいカットフルーツやドライフルーツが入っている。


 それとフォカッチャらしいパンもある。

 フォカッチャとは、古代ローマ時代から伝わる平焼きパンだ。

 オリーブオイルを混ぜた生地をのばし、表面にオリーブオイルと塩をまぶし、焼き上がりが平らになるようくぼみをつけて焼くのが基本的な特徴でおつまみや料理の付け合わせに出てくるやつ。


 それの表面になんか芸術的なほどきれいな模様がつけてあるのが貴族風なのかもしれない。



「ネオ様のお口に合うものがあってよかったですわ」

「私の食の好みの話がでたのでついでに探している調味料の事をお聞きしたいのですが」

「はい? どのようなものですか?」

「原材料は大豆、豆なのですが、色は真っ黒で、さらっとしてて、味は辛いです」

「辛い……トウガラシではないのですね?」 


「はい。トウガラシもそれはそれで欲しくはあるのですが、醤油は違います、赤でも青でもなく、真っ黒のもので、それとは別に茶色い……これもしょっぱい味噌と言う調味料も探しています。

 味噌は、大豆や米、麦等の穀物に、塩と麹を加えて発酵させて作る発酵食品で、ペースト状であることが多いはずです」


「存じませんわねぇ、レベッカ嬢の家は貿易関係で強かったようですがいかがです?」

「ニコレット様、貿易関係の伯爵家の娘の私も分かりませんのが、そのうち見つけ出せるよう尽力いたしますわ!」


「ありがとうございます! レベッカ様」


「ところで、ネオ様、原材料までご存知なのに本当に原産地の手がかりも全く分かりませんの?」

「き、記憶が一部欠落しておりまして」


 エマ嬢がこちらを見て口を開いた。


「もしや頭でも打たれたことがあるのですか?」



「えーと、恥ずかしながらそのようなものです」

「でもその調味料のことは覚えているんですのね」


「はい、食いしん坊みたいでお恥ずかしいです、あ、後は穀物の米、ライスも探してます。

水のはった田んぼ……畑で育てられ、苗は緑で秋に小麦のような色の稲穂となります。

稲の果実である籾から外皮を取り去った粒状の穀物なのですが、中身の見た目は薄茶色の粒で、炊いて食べます」


 精米後は白くなるが精米後は見るまでわからんだろうからそこは省いとく。



「それも探しておきますわ」

「ありがとうございます、レベッカ様」


「ネオ様、侯爵家でも探しますわ」

「わたくしも! 微力ながら!」


「レベッカ様、エマ様もありがとうございます!米の絵は後で紙に描いて渡します」

「あ、お約束のアレをお渡ししておきますね」


 スマホ的な魔道具!

 やった! 超嬉しいぞ!

 ここの掲示板でも匿名で米と醤油と味噌探そう!


「ニコレット様、ありがとうございます!」


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