第12話 さらに新たな患者

 今、とても騎士の鎧が欲しい!

 股間がテントはってもごまかせるやつ!

 つまり主に下半身の装備が必要!


 と、先程のトイレの中で切実に思った。

 何しろ女性の胸がただで揉めるのは素晴らしいが、俺のジュニアが反応してしまう!


 相手が苦しんでいたら、それどころではないのでなんとかなるが、問題は感じてるみたいな反応される時だ!


 などと考えつつ、ボード遊びに行こうとしていたら、新たな客人!

 もしかしなくても患者!

 どうしよう! 2回もトイレ行く不審者になるのはヤバイかも!


 やるのは治療なのになに◯起してんだ、不謹慎な破廉恥男! と、思われそう!


 などと心配していたら、茶髪の女性が担架で運ばれてきた!

 急患だコレ!




「ううっ! 苦しいっ!! ああっ!!」

「まあ! 既に発作が起きてるではないの!」



 コレにはニコレット様も驚くし俺も驚く。



「ひとまずそこのカウチに寝かせてください!」

 


 俺がそう指示すると、騎士らしき男が茶髪令嬢を担架からカウチに移動させた。



「男性は治療師以外は、外に出て!」


 ニコレット様が騎士に指示を出す。



「はっ、廊下に出ておりますので、うちのエマお嬢様をよろしくお願いいたします!」



 担架を担いでいた騎士達は急いでサロンから出た。


 目の前には痛みに苦しむ患者!

 歯を食いしばり、脂汗が額に滲む。



「いきます! 魔力吸引!!」



 俺はまるで呪文のように今から施術しますよというのが伝わるようにわざと言ってみた!


 俺の手のひらが白銀色に輝くき、魔力を胸越しに吸い出していく!


 初めはなだめるように左の乳房を撫でさする!

 それから、ゆっくりもみもみしてみた。

 マッサージのように。


「う……っ、く、ハァッ、あっ!」



 まだやや苦しいのか!?

 彼女から滝のような汗が額から流れてる。


 俺は右片手では相変わらず胸のマッサージしつつ、左手でポケットの中からハンカチを取り出し、そのまま彼女の額の汗をぬぐった。



「レディ大丈夫ですか? まだ苦しいですか?」

「ハァッ、ハァッ……い、痛みが……引いてきましたわ」


「それはよかった」


 俺はそう言いつつ、左手で乱れて顔にかかる髪を耳にかけてあげた。

 今回は発作中でとても苦しそうだったので、俺の股間のあれは落ち着いてる。



「はーーっ♡ はぁ~〜っ♡」



 未だ荒い呼吸をしてるようだが、表情が色っぽくなってきた。

 なんか俺の下半身がヤバくなりそうだからこの辺でやめていいか?



「落ち着いてきたようですので、今回はこの辺で終わります」


 と言ってから、俺が最後にひと揉みしてみたら、


「あんっ!♡」


 と、確実に嬌声が! あっぶね!

 そして室内の冷えた視線がつき刺さり、無事にことなきをえた! 萎えぽよ~!


 ニコレット様やさっき施術を終えたばかりのレベッカ嬢も侍女サーラさんも、こちらを見てるのである!

 しかもガン見!



「ネオ様、こちらはエマニュエル・リ・ジェラルディーヌ、子爵家の令嬢です」


 ニコレット様が夏なのに冷気をまとって紹介してくれた。


「エマニュエル嬢、改めて挨拶を申し上げます。私の名はネオ。平民ゆえ姓はありません」


 俺は膝をついて挨拶した。


「あ、あまり平民には見えない物腰しですけど、ひとまずはありがとうございます。

ネオ様、あなたの治療のお陰で助かりましたわ、よければエマとお呼びください」



 エマ嬢は目をパチパチと瞬きを数度繰り返しつつも、とりあえずは俺の出自を今問い詰めてもなと、思いなおしたようだ。



「エマ嬢、大変でしたわね。よければうちの浴室を使ってくださいませ」

「ニコレット様、ありがとうございます。お言葉に甘えますわ」

「ところでエマ嬢、ドレスや部屋着の着替えはお持ちかしら? なければ私のを貸しますけれど」


「ニコレット嬢、大丈夫ですわ、そちらは馬車に積んで来てありますので!」

「ではすぐに脱衣所まで運ばせましょう」



 彼女は痛みで苦しみ、大変汗をかいていたのでお風呂へどうぞということらしい。

 後は着替えや入浴の手伝いはメイドがどうにかしてくれるだろう。


 そして俺がさっき使ったハンカチをポケットにしまおうとすると、



「ネオ様、お待ちを! 洗って返しますので!」



 と言って、エマ嬢が俺の手からハンカチを強引にひきとった。

 べ、別に令嬢の汗の染み込んだハンカチをクンカクンカとかしないからな!?

 と、焦ったけど、まあ、普通の反応だよな。


 彼女は恥じらってるだげだ、そうだ、そうに違いない!



 彼女はお風呂に行った。



「あの大騒ぎではボート遊びは明日にしたほうがよさそうですわね」


 ニコレット様はボード遊びを諦めたようだ。

 今日のところは、だが。


 だがその後、どこかに行っていたユージーンが合流し、



「旅の吟遊詩人が公園に来ていて歌っていたよ」


 と、言った。


「ああ、当家の別荘の敷地の一部は公園として一般人にも開放してますので、そういう輩もたまに来ますわ、人を集めて歌っていますの。せっかくなので歌でも聴きに行きましょうか?」

「いいですね」



 本来デートの予定だったのだ。

 ロマンチックな恋の詩でも聴きたいのかもしれないと、俺は了承した。


 しかしユージーンはさっき聴いてきたってことで留守番をするらしい。

 さては広い敷地内を歩き疲れたな。


 俺とニコレット様とオマケのサーラ様とレベッカ様はボード遊びの代わりに吟遊詩人の詩を聞こうって流れになって、その開放地区の公園へ馬車で向かうことになった。


 エマ嬢は発作を起こしたばかりだし、入浴中なので置いてきた、すまない。






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