第9話 おまけ。ニコレット視点のデート

 〜 ニコレット視点 〜


 今夜は私の自室にて、先日のネオ様の動画を見ることにします。

 大きな鏡を取り寄せ、壁に設置しました。


 魚の仕掛けを観に行く様子を魔道具で撮影したものを魔法の鏡に大きく映し出す仕掛けを作動!



「ねえ、一緒に先日撮影した動画を見ましょうよ、サーラ」

「はい。今お茶を淹れておりますのでお待ちください」


 お茶の用意ができるまで待てない私は一人で盛り上がります!



「ほら、御覧なさい、水遊びに興じるネオ様よ! シャツのボタンは第三ボタンまで外れて胸元がよく見えている上に、水に濡れて張り付く様がとってもセクシー!」


 程よく鍛え上げられた筋肉!

 腕捲くりで見える二の腕!

 ああっ! うっすらシャツ越しに乳首も透けて見えます!



「ニコレット様、そ、そんなとこを凝視するのは破廉恥では?」

「自ら水に入っておいでなのよ、見えるのは仕方ないわ」


 不可抗力だから! と、言い訳をします。


「それより、ニコレット様。派閥内の令嬢から伝書鳥が飛んで来てましたよね?」



「ああ、魔力嵐の治療を受けたいという申し出ね。当然来ると思っていたわ! ピクニックデートの後に夕刻は私の別荘で食事をと考えているから、そこになら来てもいいと返事をしておいてちょうだい」


 同派閥内の友人とはいえ、他の女にネオ様の家まで行ってほしくないから、あえて別荘に呼ぶことにします。

 せっかくのデートの日ですが、背に腹は代えられないです。


「分かりました」



 そしてデート当日が来ました!

 当家の別荘地でピクニックですわ!

 ボート遊びも出来る池もあります!


 あら、今日のネオ様の衣装、素敵ね!

 私がさしあげた服ではない、仕立てのよい服を着ておられるわ。

 白いシルクのシャツに刺繍入りのベスト。

 ひと目で高品質とわかるスボン。



 やっぱりこの方、元は貴族でしょう? 

 お顔立ちも綺麗ですもの!



 それにしても腕捲くりした二の腕がとっても素敵!

 夏でよかったわ。

 眼福。


 上機嫌で小高い丘の木の下を目指して行こうとすると、ちゃんと手をさしのべてエスコートしてくださいました!


 そうです、今日はデートですから!

 私は日傘を持つ手の反対側の左手をネオ様の大きな手に重ねました! ドキドキします!

 こんな胸の高鳴りは、浮気者の婚約者相手にはありませんでした!


 しばらく歩いているとなぜか野生のヘラジカが近寄って来ます。

 何故に!?


 ネオ様は私を守る為に一旦手を離し、私の前に立ち、ヘラジカに話しかけました。


 撫でられ待ちかと私に問われましたが、何か変です。

 普通は人間に狩られる側の野生動物ですから、このように懐いてくるのは不思議です。


 どうも助けを求めてるようだと、我々は林の中を進むと、何故かかつての水場が泥沼になっています!

 そしてそこにハマっているもう一匹のヘラジカ!


 ヘラジカ! お前、この泥沼にハマった仲間を助けてほしくてネオ様に近付き、つまり、優しい人だと見抜いたのね?


 ネオ様は魔法の布からロープを取り出し、ユージーンという従者なのか友人なのかよく分からない男性にロープを手渡し、わざと角にロープを絡ませました。


 男性二人で協力してヘラジカを助けるようです!

 うちの護衛騎士はデートの邪魔なので本日は馬車の側で待機させていますから!


 お二人は力を合わせ、頑張って泥沼のヘラジカを引き上げました。


 私の水魔法で泥まみれのヘラジカの体を洗った後に、ネオ様の希望で水を飲ませてあげました。

 やっぱりお優しい方だわ!

 助けたあげく水をあげてほしいだなんて!


 さらにネオ様に向かって「優しい方だと見ぬいたのですね」と私がいうと、照れ隠しでたまたまお腹が空いてなかったからなどとおっしゃって!



 あーっ!

 なんて可愛らしい方かしら!

 この人をぜがひでも私のものにしたいですわ!


 ネオ様の全てにキュンキュンしてしまいます!!












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