第6話
ギズモンドもレベラもやや落胆した。黒髪の青年は剣のようなものを腰に下げていることもあり、何やら戦えそうな印象があった。ともすれば戦力として使えるかという期待があった。しかしこれでは戦では使えそうにない。
…やはり山の民は山の民でしかないのか…
山の民は村や町で普通に生活することさえ厳しい者がたどる成れの果てだという話がある。
ある程度力やスキルがあればそれで身を立てることができるので、稼げる場所にできるだけ行こうとするものだからだ。
わざわざ不便な場所に暮らしているのはそう暮らすしか他に道がないからだろう。
「あー、普段はどうやって生活をしているのか?」
「俺は普段は薬草採取をしている。」話によると近くの村まで山から降りてゆき、村人と薬草を物々交換しているということだった。
また腰にさしている剣は、戦う剣というより、罠にかかった小動物や魚やらをさばく用途のためのものだった。その用途にしては長いと突っ込むとこれしかないと返事が帰ってきた。
あらためてよく身なりを見るとなかなか質素な佇まいであった。
ギズモンドは言う。「それでいい。薬草採取し、かつ、それをこちらに納めてくれ。それを任務とする。」
どうやら書面の上で補給担当に任命するような扱いにするつもりだ、とレベラは感づいた。
「これなら、普段やっていることと変わりなかろう。
この三名に関しては、戦の経験がなさそうなことも考慮して、
すでにある部隊への編入としてではなく、この三名で一の部隊として薬草採取と納品の任務を与えるものとしよう。
部隊としてはかなり少人数だが。
物資の補充は立派な任務である。まして薬草は戦においては数多く用意することは必須であり、当初用意している以上の数の補充は必ず必要となる。
薬草採取及び当軍への補充の任務、よろしく頼む。」
その辺りで話はついた。鍋の男には本人の希望により終わったのち報酬を与えることになった。
採取した物資の納品場所は、点在する町や村に、戦時に必要な物資の納品所を設けているため、そのどこでもいいから何度か納品することになった。
ちなみにそこに集められた物資は定期的にまとめて前線に送ることになっている。
また、町や村に、話を通してある担当者がいる場所なら、少しずつ任務に必要な通貨など融通してもらえるとのことである。報酬は別で最後に渡すことになっている。
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