不要とされる寄せ集め部隊、正規軍の背後で人知れず行軍する〜茫漠と彷徨えるなにか〜
サカキカリイ
第1話
「君、君、しっかりしたまえ。」倒れている人物の胸あたりをゆする。
平原を進んでいると、何やら人が横たわっているように見えるものが目に入った。
そう見えるだけだろうかと近づいてみたところ、やはり人だったため、声をかけているところだ。
人物は、仰向けに寝ており、簡易な兜のようなものを被り厚めの皮の上着を着ている。
体を揺さぶっても反応がなく、
触れた体が冷たい。こときれているようだ。
兜を脱がせてみる。まだ若い青年だった。明るい枯れ草色の短い頭髪と、半開きの青い目があらわれたが、目には何もうつっていなかった。
その虚ろな青い目と、のぞき込んでいる男の黒い目があうと、男はふとその目をそらした。
見た目だけでいうと年の頃はあまり変わらなさそうにみえる。
さすがにそのままにしておかず、簡単に埋葬した。兜については、死者を特定する形見となるかもしれないので、持っていくようにした。
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