損する性格

「株で大損しまして」


「ギャンブルには手を出すものじゃないよ」


「必ず上がると言われたんです。銀行員に」


「騙されたわけだ」


「もう二度と騙されないようにしてほしいんです。お願いします」


「わかった。じゃあここに寝てみて」


 施術は滞りなく成功した。


「おはよう」


「お前は、魔女! 私に何をした!?」


「うんうん。成功だね」


「くそっ、訴えてやる。いや、裁判所も信用できない! こうしてやる!」


「おっと」


「うぐっ」


「なにも信じなければ二度と騙されないと思ったんだけど、調整が難しいね」


 男は全てを疑いながら生きて、やがて自ら命を絶った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る