平凡Aくんはじめての……。

「若林行く?」と同僚が声をかけてきたが絶望した顔で返事をした。

「行かない」


「だよな」



当たり前のように同僚が言ってきたので分かっているなら聞くなよと思ってしまった。

なんならパソコンの陰になりたい気分だ。

それを報告しにいくと



「あーっとこっちで確認したんだけど、今年飲み会に一度も参加してない、若林って人は絶対参加みたい、こない場合はなんらかのペナルティーが発生するとかなんとか、若林ってやついる?」


事務全員がこっちを見た。


僕は聞いてなかったから(シャットダウン)顔をあげるとみんなの目線がこっちにきていたことにビビった。



「おい、お前営業の人に呼ばれているぞ」

「え、なに、書類の依頼?」

「バッカ」

と同僚に怒られ営業の人、立川さんの目の前に立った。



「ああ、君か君は…なんかいつもお世話になっている気がするな」

「あ、はい」



立川さんは営業の中でもやる気に満ちあふれている人でよく会議も一緒になる、しかしこの人は僕のことを認識していないらしい。



ということは僕がこの飲み会に出席しなくても逃げられるのではないか説が頭をよぎった。



「えっと君には部長からの命令で幹事補欠一に指名されました」

肩をバンバン叩かれた。



つまりだ、これは逃げられないということを感じた。



「え、あ、っと僕は今日ちょっと出席できないです」

「えーでもペナルティーあるって言っていたよ」

「ペナルティー……ってなんですか?」

「それは知らない、なんなら直接部長に聞きに行って」

「……あ、はい…」



事務から出てトイレに駆け込んだ。



ど…どうしよう………。

無理だ、てか今日ってやっと金曜だよ、金曜日の次って何曜日か知ってる? 土曜日なんだよ、しかも休み……お布団が恋しい。



トイレに数名入ってきそうだったので個室に隠れた。


「いやぁーまさかあのへたれ若林が幹事になるとはな」

「あの時の若林の顔まじ笑える」

「てか立川さんさ幹事補欠一に指名するって言っていたじゃん、あれってどういう意味なんだろうな」



補欠一? そういえばそんなことなんか言っていたな。



「とりあえず飲みに来てくれればペナルティー無しにしてやるよ~、的なやつじゃね?」



「てか賭ける?」

「若林が飲みに来るか?」

「そう」


おおお、人で遊ぶな。



「んじゃ来たら若林に…」

「俺は千円にしとくわ」

「まじかよ、じゃぁ自販機でなんか買う」

「俺は昼食一回おごる」

「お前、それ同伴してくれないかもよ」

「たしかに笑っ まぁそれならそれで」


よし、個室から出てやろう、ガチャリと開けた。

うわーお、楽しくなさそうな顔が鏡に映っていた。

僕はすかさず千円くれる同僚に手を出した。



「なんだよ」

「もしかして話聞いてた?」

「聞いてた」

「ちゃんと飲み会に来たを確認しないとダメだからな!」

「分かった」といいトイレを後にした。


事務室に戻ると近くの席の人が

「幹事の話があるからって立川さんから伝言もらってるよ、帰り支度して営業部のとこ行ってね」


時計を見ると四時半だった。

僕は悟った、早く帰れると、とはいかず、カバンを持って営業部へ向かった。



「あ、やっときた」

「お疲れ様です」

「んと店は決まってるんだけどちょっといろいろ準備しなきゃだから、っと折り紙折れる?」

「………多分」

「んじゃこれこっち来て」と言われついていくと数人部屋にいた。

「どうも」

「あ、補欠くんだ、手伝ってくれるの助かる」


知らない人に声をかけられた。

挨拶すべきか迷うが立川さんに

「これひとつ折って、また折って全部切って輪っかにして永遠と繋げて」

「あ、はい」



所謂あれだ、パーティーとかでよく見るやつ、名前忘れたけど

「ここ五時半に出るんであと一時間で作業お願いしますね」

「うぃい」


一時間これを繰り返すのか、果たして何mできるのか。


…………。



一時間たち会場となる飲み屋へ移動した。

結構な人数が予約していたようで、というかよく予約できたな金曜日なのに。

そこは営業の腕ということか、すごいすごい。



部屋をさっき作ったやつで飾りとりあえず「完璧」らしい。

「えっと君には接待中心にしてもらうから」ん? 僕はそのための役なのか?


続きは文学フリマ東京39またはDLsiteまたはBoothにて!

発売に関しては12月1日以降になります。

詳細などはXまたはnooteに掲載してます。

どちらとも枝浬菰と検索を

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