第14話 詩『静かな部屋の中で』

 夕闇が近づいた部屋の中

 小さな写真立てから

 一匹の猫が飛び出して

 影づたいに闊歩かっぽし始めた


 ベッドの側に腰かけた私は

 眠ったままの横顔から

 気ままな姿に視線を移す


 いつからか

 部屋の中に思い出を

 飾るようになっていた


 ふたりの写真は

 色彩を帯びていたけれど

 私にはどれも色褪せて見えた


 枯れ果てたはずの目のふち

 ふるふるとしずくがたまる


 足もとに擦り寄った後

 猫は、夜のすそを引っ張って

 なおんと鳴いた


 仰ぎ見た窓の外には

 ふたつの世界

 ゆっくりと一筋

 星が流れた


 不意に、私の手の甲を

 懐かしい温もりが撫でた。

 



 一緒に毎日更新を頑張っている、夢月さんからお題を頂いて詩を書いてみました。


 ちなみにお題は、①あなたのいない部屋 ②黒猫 ③希望でした。


 🔽夢月みつきさまのマイページ

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k


 『まいにち』にネタのタネをありがとうございます😊

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