第20話

 姫の手刀が河童の立っていた岩を割りました。


「鬼が現存していたとはな」


 河童が川の対岸に降り立ち、しげしげと眺めます。


「家族を滅ぼした桃太郎に抱かれるとは酔狂な女だ」

「なんだ知らなかったのか」


 川を挟んで対峙します。


「鬼は一属一種、全てが個であり、別の種族だ」


 河童の右腕が落ちました。


「な!?」

「私が断ったと認識したものは、落葉の如く散る」

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