第11話

 消費者金融の店先に佇む男が会釈を寄越し,片目のない精悍な面構えにうっすら笑みを浮かべながら派手な背広からとりだしたスマホを耳にあてる。

 曼珠沙華麗の顔が脳裏に過った。

 あいつ,僕がここにいるとボスに連絡しているんじゃないのか。行くあてもなく街を放浪していると。たった独りでなす術もなく。

 そんなことになったら――曼殊沙華麗につかまる!

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