昼寝中のイネス
スリープモード、解除。
イネスは目を覚ました。
二時間も経っていない。まだ、アポロは帰ってこない。
省エネモードで行動すれば、アポロもイネスもひと月以上エネルギーを補給する必要はなかった。
ただ、できるだけ人間の生活にならって行動しましょうとアポロが言うので、可能なときはそうしている。
具体的には、朝、昼、晩と、エネルギーが減った分を、食事、と称して摂取する。
人間が……アポロとイネスのマスターが、かつてそうしていたように。
(アポロが戻ってくるまで、昼寝続行決定)
イネスは決めた。決めたらロボットなので、迷いはない。アポロが今日戻ってくるのか、一週間後に戻ってくるのか、分からないけれど。
お互いの行動を尊重する。必要以上に制限しない。アポロとイネスはそういうふうに行動していた。
(アポロが起こしてくれるまで、スリープモード再開)
イネスは再び眠りについた。アポロが帰ってこない、という可能性は、限りなく低くても、もちろん考えていた。アポロの方が、イネスよりも80年分多い記憶を保持している。先に壊れる可能性の高いのは……。
「スリープモード、やっぱり解除!」
誰もいないのに勝手に叫んで、イネスは歩き出していた。
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