真地九郞さん、魔導浮遊島の島王になる

ココ異世界

第1章

プロローグ



「ああ、マジで美味しい!」

 

 10時間労働の後の、缶ビールって、最高に美味しい。

 俺は真地九郞まじ くろう

 年齢は30歳。

 学生の頃、よく友人に「真地って、マジで!?」と、いじられていた。

 社会人になってから、あまり言われなくなったけどな。

 俺は、古くも新しくもないアパートの一室で、缶ビールを飲んでいた。

 エアコンからはすずしい風が放出。

 気持ちいいし、疲れた体をやしてくれる。

 俺はマウスを操作し、有名な動画サイトへログイン。

 好きなVTuberのゲームを配信を、ビールとつまみを食べながら、視聴する。 


 生まれてこの方、彼女を付き合った事もないし。彼女いない歴=年齢。

 正直、悲しいし、むなしい。


 俺はFラン大学を卒業後、中小企業の会社に就職。

 化粧品けしょうひんを売る会社で、事務じむをやっている。

 仕事は難しくはないが、長時間パソコンに向かって、仕事をするのって大変だよな。

 それに、賃金は手取り25万円。

 正直、30歳でその賃金は安いなと思う。


「まあ、就職できただけ、マシだが」


 正直、もっと、お金が欲しい。

 転職すべきか?

 だが、これといって、資格もないし才能もない。

 手取り25万円が適正てきせいな賃金なのだろうか?


 俺は、自分のわきをかぐ。少し、汗臭い。


「シャワー、浴びないとな……」


 今日も、ちゃんと入らないと。

 まわりが女性ばかり、臭いと嫌がられるからな。

 使い捨てのウエットタオルや制汗スプレーとかで、ごまかせないだろう。


 俺は、面倒だななと思いつつ、お風呂場に行き、シャワーを浴びる。


 ああ、気持ちいい……

 

 バスタタオルで、体をき。下着をはく。


「あれ、Tシャツがない……」


 持ってくるのを忘れたか。まあいい。

 重い足取りで、寝室に行き。

 Tシャツを着る元気もなく。俺はベッドにそのままダイブ。


「お休みなさい……」



 寝返ねがえりすると、いつもと感触かんしょくが違う。

 なんというか、暑い。

 ゆっくりと目を開ける。


「!!」


 すると、まっさらな空と太陽が見えた。

 俺は立ち上がり、あたりを見渡みわたす。


「おいおい、 俺って、外で寝ていたのか??」


 手で目をこすり、景色を凝視ぎょうし

 そこは、見渡すかぎり、草原が広がっていた。

 緑豊かな草木、空は青く太陽が燦々さんさんかがやく。

 空気はんでいて、おいしい。

 日差ひざしは強いが、風はすじしく、気持ちいい。


「……あれ? ここはどこだ?」


 まったく、見覚みおぼえのない景色けしきであった。


「てか、俺。裸じゃん。パンツはいてるけど」


 半裸状態である。下着を身につけていて、よかったが。

 正直、恥ずかしい。何か、着るモノはないだろうか?


 10分、歩いた。

 だが、どこもかしくも、お花や草木しかなかった。


「まさか、異世界転移ですか?」


 俺はラノベをよく読む。とくに、異世界転生や転移モノが大好物だ。

 もし、俺が異世界転移をしていたら、それは最高だ。


「よし、だったら。ステータスオープン」


 名前 真地九郞まじ くろう

 レベル1

 HP20/20

 MP12/12


「すげぇ! 本当にステータスが出てきた!!」


 そうなると、ここはゲームの世界か、あるいは異世界なのか。どっちかだと思う。

 すると、ピンポンピンポーン! と音が聞こえた。


『そうです! ここは異世界です!』

「エッ!?」


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