開く。


 Aさんの職場の話。


 その日のAさんは夜勤で、見回りを終えた後、一息く為に暗い廊下を歩いて休憩室へ向かったそうだ。


 すると、休憩室のドアが開いたままだったという。Aさんは誰かの閉め忘れかと思い、そのまま休憩室に入ってドアを閉めたそうだ。


 そしてAさんは、ソファーへと腰掛けた。飲み物を飲もうと、ふと顔を上げた――――次の瞬間、Aさんは目を疑った。


 今し方、ちゃんと・・・・閉めた・・・ドアが開いて・・・いる。


 この場には、自分一人・・・・しかいないのに・・・


 Aさんは、そっと休憩室を出たという。


 その職場は、人の出入りが激しくて、なかなか人が居着かない場所なのだそうだ。


 ああ、だから・・・と、Aさんは理解したのだという。


 数ヶ月後、その職場は閉鎖となったそうだ。

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