嗤う生首。


 道に迷うことがある。


 自分で迷うならいいが、迷わされると・・・


 Aさんが道に迷った日の夜。


 夢を見たそうだ。


 気色悪くて気持ち悪い夢だという。


 女の生首が宙に浮いて、ニタニタといやらしく見下ろしてわらっているという夢。


 長い黒髪を結った女がニタニタと嗤って、くるくると空中を回っている。斬られたであろうその首の断面からは、ぽたぽたと赤黒い液体が垂れて来る。


 Aさんは汚いと思い、酷くムカついたそうで、


「消えろ、クソがっ!?」


 と言ってやったのだとか。


 すると、生首女が怒った顔をした気がして、Aさんは目を覚ました。


 そしてAさんはその後、数日間体調を崩したのだという。


 Aさんが迷った道の近くの集合住宅には、夜中に女の生首が飛び回っているという噂があったそうだ。


 Aさんが女の生首の夢を見たのは、この一回だけなのだとか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る