『アエリア』の日記☆

『5歳の誕生日。

お父様からこの日記帳を頂きました。

今日から、日記をつけることにしましたわ』


表紙を捲ると最初にその文字が目に付いた。

どうやら、この日記は『アエリア』の5歳から6歳の日記帳のようだ。


『お母様のお腹が大きくなりました。

赤ちゃんがいるようです。

私が、お姉ちゃんになるようです。

早く会いたいです。

弟でしょうか。

妹でしょうか』


『アエリア』には、弟妹がいたのか。


『お兄様がとても意地悪です。

嫌いです。

あんなお兄様なんていりません』


へぇ、兄がいたのか。


『お母様は、私の事を見てくれません。

妹ばかり可愛がっています。

お母様に振り向いて貰いたいのに』


生まれてきたのは、妹だったのか。

あの『アエリア』が、どうして我儘だったのか分かった気がする。

会いに飢えていたから、そうすることで構ってもらえると思っているから。

だから、我儘を言っているのかもしれない。


『お母様に当たってしまいました。

涙を流して、私を抱き締めてくれました。

お母様、ごめんなさい』


俺は、日記を開きながらチェアから立ち上がる。

目の前の紅茶は、すっかり冷めてしまっていたから一気に飲み干せた。

俺は、『アエリア』の所へと向かった。

跪く様にベッドの高さまで腰を下ろす。

ベッドで眠る『アエリア』は、涙を流しながら眠っていた。

俺は、そっと彼女の頭を撫でる。


「お兄様…」


『アエリア』の口からそんな寝言が聞こえた。

あれ?兄って仲が悪かったんじゃないのか?


『お兄様と仲直りしました。

お兄様も私に嫉妬していたようです。

私達は、似たもの兄妹だったようです。

可笑しいです』


ああ、なるほど。

母親を奪われて兄も寂しかったのか。

それで、『アエリア』にきつく当たっていたと。


『お兄様は、凄いです。

剣がとても強くて、学院でも主席。

とても、誇らしいです』


兄の事を絶賛している。

学院。王国には、学校があるのか。

貴族の学校なのだろうか。

やがて、日記は最後のページへと辿り着いた。

明日で6歳になると書かれて終わっている。

じゃあ、次の巻を読もうかな。

はぁ、これを13巻も読むのか。

辛い。

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