「妖精配給会社」★★★★★★★★★★

〇収録「妖精配給会社」


〇評価(10点満点)

 アイデア:5(5点満点)

 文章  :5(5点満点)

 合計  :10


〇あらすじ

 宇宙から謎の卵がやってきた。卵は孵り、その小動物は「妖精」と名付けられ……


〇寸評

 星新一の前期を代表する傑作。

 アイデアとしては、『ボッコちゃん』に収録されている『特許の品』を発展させたものと言えよう。『ようこそ地球さん』の『セキストラ』も同系統のアイデアと言える。

 インターネット、とくにスマートフォンとSNSの普及に対する批判と読み解けなくもない。そういう観点から、本作を読む者もいるかもしれない。

 文章は星にしては長いのだが、流れるような筆致である。気にならない箇所がまったくないわけではないが、全体的に見て、よく練られた構成をしている。

 主人公の立て方が絶妙。

 アイデアについても、疑問があると言えばあるが、その欠点を帳消しにするほど、独自の世界観を築くことに成功している。

 「奇妙な味」と表現できる、中後期の非SF作品とのつながりは弱い。位置づけとしては、作家人生の前期、SF作家星新一のひとつの到達点として捉えれば、すんなり落ち着くのではないだろうか。

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