眠れぬ夜

@nyoronyro

第1話

 あれは夏の寝苦しい夜のことでした。

 ふと目が覚めると、いつの間にか冷房が切れていたのか、気づけば音が消えていました。

 暑さのせいか、薄っすら寝汗をかいてたのが不快で、もう一度冷房を付けなおそうと思いました。

 寝るときに部屋の電気は消しているので、手探りでエアコンのリモコンを探そうと思ったとき、急にキーンという耳鳴りがしたと同時ぐらいに体が動かなくなったのです。


 体を動かそうと力を入れてる感覚はあるのに動かない。

 声を出そうとしても出ない。

 そのうちに、視界の端から黒いモヤのようなものが見えはじめたのです。

 怖くなって目を閉じようとするのですが、それすらもできずにその影が段々と近づいてきました。

 恐怖に感じていたら、ニャーンと猫の鳴く声が聞こえてきました。

 よくよく目を凝らすと、我が家にいた飼い猫がこちらを見つめていたのです。

猫が顔を近づけ一声鳴くと、いつの間にか金縛りは解けていて、黒いモヤも消えていました。

 気が付けば猫も消えており体が動くようになると急いで電気を付けました。

 明かりがついて安心したのか、落ちついて考えたら、ふと思い出したのです。

 今日が死んだ飼い猫の命日だったことに。



 





 

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