第9話 アラベスク領プレセペの街へ

 ソンブレロの村を出た。

 ついに新しい仲間と共に。パーティを組んで先へ進む。


「そういえば、帝国はまだ遠いのかな」

「アウレアさんはアラベスク帝国へ行きたいのですね?」

「そうなんだ、リディア」

「では、ここからではまだ遠いですね。あと一か月は掛かるかと」


 ということは、まだ全然距離を稼げていなかったんだな。

 徒歩では限界があるか。

 途中でもいいから馬車とか騎乗モンスターを入手たいところだ。


「ちなみに次の場所は?」

「ここからですと『アラベスク領プレセペの街』が近いかと」


 プレセペの街か。聞いたことがないな。


「どういう街だい?」

「海が近くて綺麗なところです。貿易も盛んですよ」

「ほぉ、さすが元受付嬢。詳しいね」

「それほどでもっ」


 嬉しそうに微笑むリディア。こうして二人きりで旅も悪くない。


「ちょっと、アウレアさん」

「あ、すまん。ニキシーもいたよな」

「どうせ、ボクは一匹ですよ……」

「不貞腐れるなよ~。精霊だろ」

「まあそうですけどー」


 草原の先へ進むとパーティらしき三人組がモンスターと戦っていた。敵は獰猛なウルフか。

 三人組はアッサリとモンスターを討伐。


 そのうちのリーダーらしき男が俺に気づいた。



「なんだあの田舎モン」

「おい、リーダー。アイツ、すっげー美女を連れ歩いてるぜ」

「やっちまおうぜ!」



 三人の男たちは俺に接近。

 取り囲まれた。


「なんだ貴様たち」

「女を寄越せ!」

「突然だな」


「このところ美女に会っていないんだ。ちょうどいい、その女に俺たちのお世話をしてもらう!」


 ニヤリと笑うリーダー格の男。そういう目的か。

 やはり世界にはこういう輩もいるんだな。

 世の中良いことばかりではない。

 それは分かっていたが、ここまでとは。


「黙れよ」

「んだとォ? てめ~、痛い目に遭わせてやろか!」

「やめておけ」

「やめておけだぁ!? 俺たちはこの辺りではレベル16と高いんだぞ!!」



 剣を振り回し、いきなり襲い掛かってくるリーダーの男。しかし俺は男の剣を指で摘まんで止めた。



「自慢じゃないが、俺はレベル-29だ!!」



 バキッ! と、刃を砕く。



「な、なんだああああああああ!?」

「ウソだろ!! 指で剣の刃を砕きやがった!!」

「バケモンかアイツ! てか、マイナスってなんだ!?」



 三人はビビって青ざめていた。



「死にたい奴から掛かってこい!!」


「「「ひ、ひええええええ~~~~~~ッ!!!!」



 恐れをなしたのか、立ち去る三人。……フン、所詮は群れてないとイキがれない連中だ。


「さすがアウレアさんです!」


 リディアから褒められ、俺は少し誇らしかった。

 彼女を守れた事実。そうか、人を守るっていいものだな。

 この調子でもっと強くなろう。


「よし、この辺りで狩をすっか。晩飯も確保しなきゃだし」

「そうですね!」


 スピアを持ち、俺はウルフを探して狩っていく。狼の肉は美味いと聞く! ぜひ一度食ってみたいな。



【ウルフ】【Lv.18】

【詳細】

 狼モンスター。獰猛で危険。

 倒すと狼の肉をドロップする。



 ニキシーから情報を得た。



「ウルフを倒すのはありですね」

「助かった、ニキシー。肉を確保していく」

「がんばってください」



 俺は草原を駆け、ウルフを見つけたらスピアーでぶっ刺す。二撃、三撃ほどで倒せた。一撃で倒れば効率がいいのだが、もっとレベルダウンしないとな。



「なあ、ニキシー」

「なんです~?」

「もっと強いウルフはいないもんかね」

「では、この先の山へ向かってください。洞窟付近には強いモンスターがいますから」

「なるほど、そうすっか」



 どうやらこの先には『ヒッパルコス』という洞窟ダンジョンがあるらしい。そっちは攻略が難しいらしい。けど、周辺のモンスターならそれなりに強く、レアアイテムもドロップするとか。


 ありだな!

 向かおう!

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