俺だけレベルダウンで最強です ~勇者と魔王のどちらの味方でもないが、戦いが止まらないので俺がバランスを取り平和を維持します~ 目指せ!! 静かなるスローライフ

桜井正宗

第1話 村追放とギフト『レベルダウン』覚醒

「アウレア、お前はもう村にいらない」


 無職ニートだった俺は、ついに村を追放されてしまった。

 働かざる者食うべからずってヤツかね。

 別に好きで無職だったわけではない。

 俺に才能がなかったからだ。

 だから戦うことを諦めた。


「お、おい! ふざけんな!」

「うるせえ、出ていけ!!」


 村をつまみ出され、俺は一人になった。なにも与えられず、情けもなく追放されて俺はこの先どうやって生きていけばいいのだ?


 とりあえず『冒険者』になった――と、思う。


 まあいい、スライムでも倒してみっか。


 木の棒を拾い、草原で転がるスライムを叩いてみた。



「えいっ!」



 ポキっと枝が折れた。

 ダメだ、俺に戦闘の才能なんてねぇ……。

 このままでは野たれ死ぬだけだ。

 終わった。なにもかも。


 なんて思っていると、背後から剣が落ちてきた。


 振り向くと幼馴染のフィーネがいた。


「アウレア! せめてその剣を使って」

「ありがとう、フィーネ。お前だけだよ、俺を分かってくれるの」


 フィーネは誰にでも優しい女の子。

 俺にみたいな雑魚キャラにでも優しくしてくれる天使なのである。


 おかげで武器を手に入れた。


 よし、今度こそ剣でスライムを倒す。


 素振りを少しだけ練習して、すぐにスライムに突撃。

 なんと今度は倒すことに成功した。



【LEVEL DOWN】



 すると目の前にそんな文字が。


 ――は?


 レベルダウン?



 おい。俺のレベル下がっているんだが。



【アウレア:Lv.-1】



 ふざけんじゃねええええええ!!

 なんでレベルがマイナスになってんだよ!



「わははははは!」「おい、見ろよ。アウレアのレベルダウンしているぞ」「だっせー!!」「ウ●コじゃん」「所詮、無職ニートだろ」「ばっかみてえー!」「ありゃ、死ぬな」


 村の住人から笑われた。



 くそ、くそ、くそがああああああああああああ!!



 俺は涙ながらにその場から離れた。


 追放され、この仕打ち!!


 ちくしょう。

 フィーネも心の中では笑っているに違いない。



 村から離れ、俺は剣を確認した。



【剣:Lv.-5(呪)】



 うぉい!

 剣ですらマイナスじゃねえええか!

 しかも呪われてやがる。

 装備が外れない……。


 ああああああああああああああああああああああああ!!


 やけくそになって、俺は目の前にいる強そうなゴーレムに突撃した。もうどうにでもなれえええええええええええええ!!



『バコーン! ガラガラ…………』



 なんか知らんがゴーレムがバラバラになっていた。



【LEVEL DOWN】

【LEVEL DOWN】

【LEVEL DOWN】

【LEVEL DOWN】


【アウレア:Lv.-2】

【アウレア:Lv.-3】

【アウレア:Lv.-4】

【アウレア:Lv.-5】



 どんどんレベルがマイナスに!

 って、なんでだよおおおおお!


 けど不思議だ。

 俺はマイナスになっているはずなのに、なぜか強敵であるゴーレムを倒せた。

 元冒険者だったジイサンに聞いたことがある。


 序盤の冒険者ではゴーレムは強すぎて倒せないと。

 そんな敵を俺が倒せた!?


 信じらんねぇ!!


 まさか、このレベルって……俺だけの特別なギフトってやつか!?


 こんな才能があったなんて知らなかったぞ!!



 この才能を伝えるべく、村に戻ろうとすると異常な数の魔物がすれ違った。


 な、なんだこの大群。

 村の方へ向かったな。


 気になっていってみると……村はズタボロになっていた。


 え……うそ。



「た、助けてくれ……アウレア」

「お、おい。お前……なにがあった」

「と、突然魔物に襲われて……アウレア!! 背後にモンスターが!」



 振り向くとそこには巨大な怪鳥モンスターが!

 俺はビビって剣を振るった。


 すると怪鳥モンスターは粉々に砕け散った。



【LEVEL DOWN!!】


【アウレア:Lv.-5】 → 【アウレア:Lv.-15】



 え……?


 えええええええええええええええ!


 一気にレベルダウンしちゃった。

 あのモンスターかなり強かったんじゃ。



「いったいどうなってんだ」

「アウレア……お前、そんなに強かったのか!?」

「らしい」

「なあ、やっぱり村に戻らないか?!」

「すまん。俺はもうこの村には戻らん。追放されたからな! じゃあな!」


 名前も知らないおっさんを置いて、俺は村を再び離れた。

 直後、村はモンスターの大群に襲われて滅びた。


 あーあ……まあいいか。

 あの村に俺の居場所はなかった。


 家族も俺を見限って帝国へ行っちまった。



『~~~~~~~~ぐぅ…………』



 腹が減った。

 モンスターでも狩って肉をゲットすっか!


 草原を歩いていると、やたらモンスターがいた。狼系のヤツを剣で倒したが、その瞬間に刃がポキリと折れて、武器が破壊された。

 剣が消滅した。


 武器って壊れるんだな。知らなかった。

 一応、狼が手に入ったが……捌けねえ。


 と、思ったが地面に『肉』をドロップしていた。


 あ~、これがアイテムってヤツか!

 よく見ると狼モンスターは塵となって消えていた。なるほどなるほど、覚えた。



 俺は次の村へ向かった。


 やっぱり武器と防具が欲しいよな~。

 お金を稼ぐにはクエストをやれとジイサンが言っていた。食うためにはやるしかねーな!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る