男女比世界で惰眠は貪れますか?

たいおあげ

本編

一章

第1話

「つらっ」



 そう、何を隠そう社畜である。もちろんブラックな方な。それはそれは真っ黒に染まってやがりますぜ。全く、困ったもんだ。困りすぎているのに、何も出来ず、仕事、家、仕事、家をくり返すばかりで正直飽き飽きしているが何も出来ない。権力には勝てへんよ……。

 だが、今は一刻も早い帰宅を優先すべきだ。いざゆかん、我が家へ!! そして、いち早くベッドへのダイブが優先される! このミッションやり遂げてみせる!



「あ」



 すると、急に足元の感覚がわからなくなった。姿勢が前のめりになり、前方へと倒れていくのがわかる。咄嗟に前に手を出そうとはしたが身体が言う事を聞かない。ただただ、身体が倒れるばかり。力が入らない。


 まじでかー。えー。

 俺の人生ここで終了!?

 一周回って笑えてくる。おもろ。ってなるか、馬鹿タレ!!

 せっかく、これから惰眠を貪ろうとしてたのに。あーあ。あーあ。どうなってますねん。いやしかし、後悔タイム長くないっすかね? え? お約束の異世界転生? 嫌なんですが!? 異世界とか大変そうですやん。

 どうすっかな、これ。いやでもこの状況的には異世界転生が妥当と考えていいだろうし。まぁ、お約束だしねー。うーん。まいったなこりゃ。出るなら、はよ出てこいよカミサマとやら。ほらはよはよ。

 とシャドーボクシングを心の中ではしている。だってしかたないじゃんか、身体動かないんだしさー。なかなかに素早いのではないだろうか。



「君……。いや、まぁ興奮して話にならないよりはいいけどもさ。もっとこおなんかないの?」



 あ、やっぱ来た。

 どうやら、カミサマとか言うやつなのか? さっきから俺のこの深淵をも覗ける目(自称)にかかれば、何でも覗けるはずなのに何も見えない。感覚としてはいるというのはわかるのにそこにはいない。どうなっとん。

 さてさて、話を戻しますかね。さっきの質問なら、全くありません! とでも応えておきましょう。ええ。



「こんなのに会うの初めてなんだけど。どうしようか」



 『こんなの』とは些か失礼ですね。

 しかし、俺は話がわかる大人なので、そこら辺の詳しいことはどんどんはしょっちゃいやすぜー。

 転生先とやらですね。そうですね。望んでいい感じだとお見受けしてオケです?



「いいよ。いいよ」



 んーー。どうしましょうね。んーー。なかなかに迷いますね。よくあるよねー。何でもいいと言われるとわからなくなるやつ。つまりあれだよ。

 ふむふむ。ファンタジー世界は却下で。あと、身分もとりあえず普通で。高いとめんどそう。あ! 惰眠貪れる世界で。



「……。注文が多いね。わかった。ちょい待ち」



 ほほう、何か調べておりますね。そんな感じがするようなしないような? だから言ってるけど、いるようでいないんだって。感覚が伝えれないのが惜しい。

 Go○gleとかだろうか。いや、カミサマぽいしそんな人間の遅れた機械なんて使うわけないか。



「あったあった。あ、でもちょいめんどいかも」



 惰眠は貪れますか? ここ重要ですよ!



「あー、それはもちろん」



 ならそこで。オナシャス!



「軽いね。じゃあ、いってら」



◇◇◇


 さぁ、やってまいりました。

 おたくの世界どんな世界? の時間です。司会は私が担当させていただきます。

 さぁ、やってまいりました(2回目)

 やってまいりましたね(3回目)

 はい。


 何を話せばいいのかわからないので終了ー。


 やはり、詰めが甘かったか。



「あら、起きちゃったの〜」



 誰だこの若女。ふむ、この身体言う事を聞かないぞ。さては、欠陥品だな。文句言ってやる。動け。動け! 俺はやればできる大人だろ! ここで、凹たれててどうすんねん!



(文句言わないでよ)



 さっき聞いたような聞いてないような。はて。懐かしい懐かしくない懐かしい懐かしくない。花占いの結果『懐かしくない』とでました。きさま! 曲者だ曲者! 皆の者であえであえ!!



(僕だよ僕)



 新手の僕僕詐欺は、着信NGなんで手を引く事をおすすめしますごめんあそばせ。



(あそばせ?)



 おっと、ネタが通じないと来た。リアルファイトをご所望か? やったりますよ! シュッシュ! この何物でもない無の右腕が唸ってしょうがない。



(えーっと………。話が進まないから、とりあえず無視するね)



 勘のいいカミサマは嫌いだよ。でも、そんなカミサマも嫌いになれないわジョセフ。あり、やだジョリッサ! ま、待ってくださいませ!



(とりあえず話聞こうか?怒)



 さーせん(棒)



(とりあえず、この世界は君がいた世界とほぼ同じと考えてね。君たち風にいうとパラレルワールドとでも思ってもらってもいいよ)



 なかなか唆るワードですね。これは、唆るぜ。パラレルワールド。パラレル……パラレル? そう、パラレル。つまりそういうことさ。



(……はぁ……。とにかく、基本的には今ある知識でなんとかなるはずだからあしからず。で、さっきの女性が君の今世の母上だから。そして、今君は赤ん坊だから文句言わないでね。そのうち自由に動けるようになるから)



 なるほど、俺は赤さんだったのか。これは確かに楽しそうだ。まさか、これが惰眠を貪れる理由?



(いや、理由は他にあるね。まぁ、今は面白そうだから秘密で。そのうちわかるよ)



 焦らしプレイですね。なかなかテクニシャンではありませんか。やりますねー。



(君と話すとほんとうにほんとうに疲れるからもう話すことないだろうけど、後は頑張りなよ。じゃね)



 なんと、自分勝手なんだろうか。許せん。

 さて、どうするこれ?

 返答返ってこないのはわかってるけど、返ってきて欲しいなぁー。返ってきたら怖いけど。

 我赤ん坊ぞ? その時は全力で泣いたる。


 いや待て。俺は何をしにここに来た?

 惰眠を貪るためだろ!

 そうと決まればやる事一つしかないでしょ!

 おやすみー



「あら、寝ちゃったわね。ふふ、かわいい」


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初めまして


幼稚園、保育園通過系のラブコメ作品が好きなので、最初の方は保育園児編となります。


作者の応援と思って♡と⭐︎をどうかどうかお願いいたします。


かなり編集をして加筆しました

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