第34話 偽装*
最後までいかない性描写があります。
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宰相に白い結婚が露見した翌週、週に1度の閨の日がやってきた。パトリツィアは、ルイトポルトが夫婦の寝室に入ってきてすぐに懇願した。
「私を兄様の本当の妻にして下さい」
「君は今だって私の妻だよ」
「でも、私は閨で妻の役割をまだ果たしていません」
「……君の身体はまだ子供だ」
「いいえ、立派な大人の女性です。ほら、ご覧になって……」
パトリツィアはそう言って赤面しながら、夜着をストンと足元に落とした。それは成人した女性らしい美しい身体だった。それに恥ずかしそうに前を手で隠す様子は、ルイトポルトの理性の程をなお一層試した。
「だ、駄目だよ。君は義父上に言われて僕に抱かれようとしているだけだろう?」
「いえ、本当に身も心も兄様の妻になりたいのです。でもこんな事、父を利するだけですよね……ごめんなさい、兄様、忘れて下さい……」
そう言ってパトリツィアは足元の夜着を拾って再び身に着けようとしたが、その腕をルイトポルトが掴んだ。パトリツィアが驚いてルイトポルトの顔を見ると、彼の瞳には情欲の光が爛々と灯っていた。
「僕だって君と愛し合いたいよ!」
次の瞬間、パトリツィアはルイトポルトの腕の中にいた。
「に、兄様……苦しいです」
ルイトポルトは、パトリツィアを腕の中から解放する代わりに荒々しく口づけた。息切れした彼女は真っ赤な顔をしてルイトポルトの胸を必死に押した。
「ぷはぁ!……に、兄様! 息できません!」
「キスする時は鼻で息して」
ルイトポルトはそう注意しつつも、パトリツィアがキスの仕方すら分からなかった事が嬉しかった。ルイトポルトが下半身をグイグイとパトリツィアの下腹部に押し付けると、彼女は処女ながらもそれが何なのか分かってゆでだこのように真っ赤になった。
ルイトポルトはパトリツィアを抱きかかえ、寝台の上に横たえ、その上に覆いかぶさった。
「本当にいいんだね?」
パトリツィアは返事をする代わりにコクリと首を縦に振った。その途端、ルイトポルトはパトリツィアに野獣のように荒々しく吸い付いた。
「ああ……兄様、兄様……」
「パティ、愛してる! パティ!」
ルイトポルトは、夢中になってパトリツィアを愛撫し、彼女の身体はそれに応えた。
「パティ、いくよ」
ルイトポルトは、パトリツィアの膝裏をぐっと上に向け脚を閉じさせて覆いかぶさって動き始め、仕舞いに彼女の腹の上で果てた。
「ああ、兄様、これで私は兄様の本当の妻になれましたね。嬉しい……」
パトリツィアは瞼が閉じそうになるのに必死にあらがいながら、そう言い、すぐに気を失った。
性の事に疎いパトリツィアは、まだ純潔を失っていない事に気付いていなかった。彼女は閨教育を受けたものの、この国の女性の性教育では『旦那様に任せなさい』以上の情報はない。でもパトリツィアが気付くか宰相に知られるか、いずれにしてもこの方法で何度も誤魔化せない事はルイトポルトも分かっていた。
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