第3話 冒険家ルシア・オリーブ①
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ザァーン…ザーン…
心地よい波音を感じながら、船に揺られて2時間…ついに私たちは「オランビス島」へ到着した。
「うわぁぁ…綺麗…」
船から降りて真っ先に見た景色は、白く輝く砂浜。辺りは南国の花々が咲き乱れ、長くそびえ立つヤシの木は、穏やかな風に揺られている。
その景色に思わず息を呑む。
…南国リゾートそのもの…。これだけでも閲覧料を取って良いぐらいの景観だよ。
ナマリ「皆さん着きましたよ。ようこそ神の楽園オランビス島へ。」
ひすい「船の送迎ありがとうございます。本日5日間よろしくお願いします。ナマリさん」
押領司さんがナマリさんに頭を下げるのと合わせて、私とみふるちゃんも深く頭を下げた。
「「よろしくお願いします!」」
ナマリ「えぇ、よろしくお願いしますね。お三方には楽しい旅になるよう私達も頑張ります。…では宿泊先の村まで案内します。」
ナマリさんはニッコリと笑みを浮かべると、ポケットからある物を取り出した。
彼の手元を見ると…大きな笛あり、それを口元に咥えるとけたたましい音が辺り一面に響いた。
ビィィィィ ビィィィィ(笛の音)
ウッ……耳が痛い…あまりにも大きな音に耳を塞ぎそうになった所、突如目の前の木々が揺れ出した。
ガササッ!!(茂みが揺れる音)
えっ…なっ何?何??こっこわい。
思わず頭を抱え地面にしゃがみ込む。
ひすいら「みふる!私の後ろに!海原さん私の方に早く来て!」
押領司さんは私を呼びながら、手を広げて みふるちゃんを守る。こんな状況の中で的確に行動できるなんて…さすが押領司さん。
「はっ…はい!」
私も急いで押領司さんの方に向かい、鞄を前にして身構える。
みふる「…2人をまっ守る…かっ傘を武器に……」(ガタガタ)
みふるちゃん!無理しないで!!
3人で身を固め、揺れる木々を見つめる。次第に揺れが強くなり…
…ガササッ!!
きっ来たぁぁ!!ついに揺れの正体が現れたぁぁぁ………
???「いやぁ〜遅くなりすみません!ナマリさん!」
明るい声と共に1人の男性が森の中から出てきた。それだけならまだナマリさんの知り合いかな?と思う……だけど……
???「あっ近くに猛獣がいたので、狩りました。食材に使ってください。」ニコ
身体中に血がべったりと付いていて、自分より遥かに大きな動物を軽々と片手で担ぐ姿に思わず後ずさる。
あっ…あの動物…ピクリとも動かない…死んでるのかな…そっそれよりも…お兄さん怪我していないだろうか…
ナマリ「ありがとうございます。相変わらず凄いパワーですね。ルシアさん。」
ルシア「いえいえ!あっ……」
「……!!」びくっ
ルシアさんはドスンと獲物を砂浜に置くと、私たち向かって……いや私に向かってきてる?!
ルシア「きの…いや!初めまして俺ルシア・オリーブって言うんだ。職業は冒険家だ!
お姉さんの名前は?」
ガシッ!!と私の手を掴みブンブン振りながら握手をした。ヒェェ…血が私の手にも….
…怖がっちゃだめよ私。これは文化!この島の感覚だから。怯えていたら不快に思われちゃう。笑顔…笑顔よ。
辿々しい英会話だけど…伝わるかな…
「はっ…初めまして宝旅行の海原いるかと言います。…5日間の視察よろしくお願いします」
ルシア「名前いるかって言うんだな?おう!よろしく!!」
…ほっ…なんとか伝わってる…良かった…
ルシア「…おっとすまない血がついた手で握ってしまい…」
「いえ…気にしないでください。あっ良かったら…このタオルと消毒シート使って下さい。」
カバンからタオルと消毒シートを取り出し、ルシアさんに手渡した。
ルシア「やっぱり…優しんだな。君は…ふぁぁ気持ちいい…このシート…スースーする…」
タオルと消毒シートを受け取り、気持ちよさそうに全体を拭くルシアさん。やがて付着していた血が取れ、綺麗になった。
ルシア「ふぅぅ…さっぱりした。ありがとうな。いるか。」
嬉しそうに微笑む彼の姿に、なんだか違和感を感じた。
あれ…初対面なのに…どこかで見た事あるような…?
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