プロローグ

プロローグ ある神様の御伽話⓪

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むかし…むかし…今から2000年ほど前。人間が農作物を作り集落が営むようになった時代。上空から1人の男が人間の生活を羨ましそうに眺めていた。


「いいなあ…人間は…俺も一緒にやりたいなぁ…」


その男の名はオリーブ。闇夜を操る神様だ。


力が強いゆえ他の神や人々から崇められる存在であり、崇めらている彼は常に孤独を感じていた。気軽に声かける人なんて一人も居ない。



そんな彼が唯一の楽しみは、人間の生活をこっそり眺める事。人間達が農作物を育てたり、祭りや儀式をしている姿、羨ましがり、中でも家族の営みに対してはとても渇望していた。



眺めている内に神様は願った。

″自身も人間になりたい″と…



だけど、彼の願いは世界中の誰もが許してくれなかった。


仲間の神々は顔を渋ったり、意見を言うだけでマシな方だったが…人間達は酷いもので犯してはいけない禁忌に触れてしまう。



それは…『生き物を殺して神に献上する』事だ。


神様の機嫌を取るように、作物と生贄を献上するようになった。『お供えを1年に1回献上するので勘弁して欲しい』と言う置き手紙をつけて。


「どうして……こんな酷い事を…」


生贄は子供や若い女が殺された状態で献上されていた。…我が身の為、平気で命を奪う人間に対して神様は絶望した。


こんなの望んでいない。何故この者達が殺されなければならない。俺が人間になる事はそんなに許されないことか?


「…すまない…俺のせいで…

…2度と犠牲を生ませない…」


こうして…神様は立ち上がった。

2度と犠牲を生ませない為、仲間の神々の協力の元、この世界に呪いをかけた。



″もし次に生贄を献上した場合、この世界は闇に覆われ、2度と陽の光が見れなくなるだろう″


″呪いを解くには7つの鍵を集め、闇夜の守護神オリーブに献上する事。献上した者には願い事を3つ叶える事を約束する″



そう…人間達に告げた。


人間達は怯え、神様の忠告を飲み込んだのち、2度と生贄を献上しないと神様に誓った。


『この者達は過ちは起こさない。大丈夫だ…』

誓いを受け取り、安心した神様は人間達から姿を消した。



ーーーーー

(神々の世界)


一方…神達が住む世界では…


火の神「オリーブ…人間達に甘くないか?

これだと許しているようなものだぞ」


水の神「お得意の闇で光を隠して人間を困らせたらどうだ。あれだと生贄の者達も報われるんじゃ…」



呪いを見た他の神々は、苦言を呈していたが、神様は首を振った。


「……これで良い。過ちを犯せば呪いが発動する。その時はまた…反省をすれば。」


彼は人間を好きでいたから、希望を見出していた。お互い協力し合う人間達の姿を思い出して笑みを浮かべる。


「じゃあ、人々の営みを見に行ってくる」


仲間の神々に手を振り、再び人間がいる世界へ飛び立った。



ーーーーー


あれから…長い年月が流れた。


人の文化・暮らしが変わり、歴史が積み重ねていく。当事者だった者は既に寿命でこの世からいなくなり…


当事者がいなければ、子孫や親族に出来事を受け継ぐべきだった。


だが、最悪な事に誰もあの日の出来事を受け継いでおらず、誰もが呪いの事なんて忘れ去られてた。


知っている者が存在しない場合、どうなるか?…答えは簡単。




【また人間は同じ過ちを犯す】






2000年後…世界中を巻き込んで、ついに恐れていた事が起きてしまう。





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