悪役貴族に転生した僕は主人公を倒せるくらいの世界最強となり、悪役らしく女を囲って自分の思うがままにこの世界を自由に生きて好き放題に無双する

リヒト

第一章 悪役貴族

悪役転生

 それはそう、僕がまだ小学生の時だった。


「お前はあまりにも欲が強すぎる」


「えっ……?」


 自分のなりたいものは何か。

 それを問われた僕の答えを聞き、担任の先生がマジな表情で僕へと駄目出ししてきたのは。


「どこがっ!?僕はただ、テレビに出ている女優さんや自分の好きな女優さんなど多くの人たちを囲みながら毎晩惰眠を貪り、毎日高いものを腹いっぱい満喫し、自分の好きなようなところを旅して多くのものを楽しみたいだけじゃないですかっ!これの何処が欲強いんです!?」


「欲しないっ!?それも小学生らしさがまるで感じられないような夢がっ!」


「これの何が悪いんですかぁぁぁっ!」


「悪いだろっ!どう考えてもっ!」


「何故っ!?」


 実に理不尽だった。

 僕はただただ、将来はどうなりたいか?と問われたから大真面目に自分の望みを伝えただけなのだ。

 何故、それを非難されなければならないのか……?意味が分からなかった。


「むぅ……」


 だが、その高校生になった今となってようやくわかる。先生の言っていたことは事実であると。

 難しい。僕の夢を叶えるのは。

 そもそもとして、日本は一夫多妻制じゃなかった。

 ちゃんと見た目にも気を使い、運動でも、勉強でもしっかりと成果を出していたことからモテててはいたが、ハーレム婚をするにはそれ以外の制約があまりにも多かった。

 一夫多妻制を容認するための世論形成からしなければならないのだ。

 親から貰った小遣いや親戚から貰った全部で十数万くらい金を投資で数千万にまで増やすのと共に、境界知能の人たちを抱き込んで商売を行っているくらいじゃ全然足りなかった。


「えっ……?」


 これからどうするか。

 そう悩んでいた時に、僕へと天からの助けがやってきた。

 現代日本でもどかしい一日を終えた後、いつものように眠りについていた僕が次に目を覚ました時、自分の体は赤ん坊のものになっていたのだ。


「ばぶぅ?」


 自分が異世界転生したのだと、僕はすぐにわかった。

 自分の体の変化はすぐにわかるし、辺りを軽く見渡すだけでここが日本でもないことも理解出来たからだ。


「ばぶぅー」

 

 日本では謎の言語を喋る金髪碧眼のイケメンの手元から炎があふれ出してきたりしない。


「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」

 

 そんな異世界で赤ん坊として生まれた僕が暮らすこと三年。

 三歳となって、ようやくこの国が一夫多妻制であるということを調べ上げた時は吠えた。

 異世界転生して、僕はようやく自分が望んでいた世界を手にしたのである。


「実に素晴らしきかな」


 この世界は一夫多妻が認められている。

 それが分かればもう僕がやることなんて一つである。


「自分を磨くだけだ」


 僕が生まれたのは大国の辺境伯家であり、圧倒的な権力、立場の強さ、金を生まれながらに有している。

 後は見た目と学力、武力だ。

 見た目は生まれながらにもう完成されていたし、学力は前世の分を引き継げる。

 重要なのは武力だった。

 この世界の文明レベルは中世から近世レベルであり、まだまだ腕っぷしの武力が幅を利かす世界。

 スポーツの大会での国力誇示などはなく、直接の武力で誇示していく。

 しかも、魔法なんてある世界で一騎当千をリアルに行ってしまうような世界観ゆえにこの武力という数値はかなり重要だった。


「ずいぶんと軽やかに動くな、僕の体は」


 とはいえ、それでもこの肉体は生まれながらに信じられないくらい優秀だったようで、びっくりするくらい軽やかに動くし、ありとあらゆる技術を肉体はスポンジのように吸収していった。

 魔法の才能も十分で、周りから常に神童と呼ばれるレベルだった。

 武力の方も問題なく僕は持っていた。


「さぁ、ハーレムを作るぞぉ」


 もう十歳くらいにはもう僕の準備は終わっていた。

 しかも、毎日高いものを腹いっぱい満喫し、自分の好きなようなところを旅して多くのものを楽しめるだけの力は生まれた時から持っていた。

 ここから、自分が求めていかなきゃいけないのは女の子たちだけである。

 あっ、そうそう。


「色々と知っている部分もあるしね」


 ちなみに、八歳のときにようやく気付いたのだけど、この世界は『黒の箱庭』という自分も前世でプレイしたゲームの世界だった。

 それで、今世の僕、ティラン・アフトクラトルはその黒の箱庭内に登場する悪役貴族。

 好き放題にして生きていた結果、主人公に断罪されて最後は屍を晒すようなキャラだったのだが……別にこんなものは些細なことだよね。

 ここで僕がゲームに出てきていたティランのように、好き放題にして生きていると主人公に目をつけられてしまいそうだが、それでも、所詮は相手も人間。

 僕が主人公を超えるレベルの世界最強になっていればいいだけの話である。

 難しいことは何もないね。モーマンタイ。

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